文学・文具・文化 趣味に死す!

小説家 星香典(ほしよしのり)のブログ。小説、映画、ファッション(メンズフォーマル)、政治、人間関係、食い物、酒、文具、ただの趣味をひたすら毎日更新し続けるだけのブログ。 ツイッター https://twitter.com/yoshinori_hoshi  youtubeチャンネル https://www.youtube.com/channel/UC0YrQb9OiXM_MblnSYqRHUw

02 小説作品

第167回 芥川賞候補作 小砂川(こさがわ)チト「家庭用安心坑夫」(群像6月号)

群像 2022年 06 月号 [雑誌] 講談社 Amazon この作品は文章が上手い。 意味不明な、精神がおかしい主人公、支離滅裂な話を文章の上手さ一本でカバーしている。 もし、掲載される媒体を伏せて、この作品の原稿を読んでジャンル分けせよ、と問われれば、「ホラ…

第167回 芥川賞候補作  高瀬隼子(じゅんこ)「おいしいごはんが食べられますように」(群像1月号)

群像 2022年 01 月号 [雑誌] 講談社 Amazon 二谷視点の三人称と、押尾の一人称で交互に物語は進む。デザイン系会社のある出来事が描かれている。この小説の中の世界は、この会社の中だけなので、わかりやすい作品である。 これでもかというほど、心理描写が…

第167回 芥川賞候補作 鈴木涼美「ギフテッド」 を読んだ

文學界(2022年6月号) (創作 鈴木涼美 対談 千葉雅也×マキタスポーツ) 文藝春秋 Amazon 30歳手前の繁華街で働く女性の話。その母親というのが詩人を目指していて、しかし売れずに理想と現実のギャップに苦しむ。母親の世代には夢があったが、娘の時代には夢も…

第167回 芥川賞候補作 N/A 年森 瑛

文學界(2022年5月号) (文學界新人賞発表) 文藝春秋 Amazon N/Aとはnot applicable、該当なしの略語らしいが、その意味で合っているのだろうか? わたしは読了して検索するまで自然吸気エンジンだと思っていた。なぜなら、それ以外思い当たらなかったし、主人…

眼球達磨式 を読んだ

眼球達磨式 作者:澤大知 河出書房新社 Amazon 文藝賞受賞作品。私は文藝の方で読んだ。 これは視点が新しい、という。というのも、小型ラジコンの魚眼レンズ越しに見る世界を描く。視点が、人間ではなく機械なのだ。 その機械が置物の猿などと友達となり……。…

教育 遠野遥 を読んだ

教育 作者:遠野遥 河出書房新社 Amazon 芥川賞受賞後第一作、というので、最近の芥川賞作家を思い浮かべるも、誰だか分からず。ググると、ちょっと前の人だった。 わたしは受賞作、破局も読んでいる。 yoshinori-hoshi.hatenadiary.jp 今回の作品の主人公も…

星に帰れよ を読んだ

文藝 2020年冬季号 河出書房新社 Amazon 女子高生の物語。どうしてこうもリアルに恥ずかしげもなく女子高生や高校を表現出来るのだろうかと感心した。作者は本当の女子高生だった。 高校生活が懐かしくなってしまう作品。ちょっと寝る前に数ページ読もうと思…

わたしを離さないで を読んだ

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) 作者:カズオ・イシグロ,土屋 政雄 早川書房 Amazon 言わずと知れたノーベル文学賞作家の代表作である。 ネタバレあり 内容はありふれた臓器提供用クローン人間の話なのだが、描写が半端ない。とことん、描写を読者にぶ…

母の待つ里 を読んだ 浅田次郎

母の待つ里 作者:浅田次郎 新潮社 Amazon 浅田次郎の新刊を新品で定価で買った。単行本を定価で買ったのはいつ以来だろうか。出版不況を自分で感じてしまった。 あらすじは、カード会社の新サービス、ふるさとをあなたへ、という、架空の故郷と母親が用意さ…

装束ゑの木 を読んだ

オール讀物2021年11月号 (第101回オール讀物新人賞発表) 文藝春秋 Amazon 第101回の受賞作である。101回からオール讀物新人賞は歴史物限定となった。 受賞作はミステリーなのでネタバレしてしまうとつまらない。ネタがわからない程度に感想を書く。(果たし…

九段理江 悪い音楽 を読んだ

文學界(2021年5月号) 文藝春秋 Amazon 芥川賞候補作のschoolgirlがよかったので、文學界新人賞の悪い音楽を読んでみた。 つまらない作品ではなかったが、schoolgirlのようなパンチはなかった。 話のネタと言うよりも、文章にパンチがない。次々打撃を食らわ…

第166回芥川賞候補作 九段理江「Schoolgirl」 を読んだ

Schoolgirl (文春e-book) 作者:九段 理江 文藝春秋 Amazon 即席でつくったんだろうけど、この表紙はなんか変だ。 ものすごい勢いの作品。怒濤のように言葉が押し寄せてくる。 掛け値無しで面白い作品だった。 あらすじは、一人娘を育てる母親の話。娘はグレ…

第166回芥川賞候補作 石田夏穂「我が友、スミス」を読んだ

我が友、スミス 作者:石田 夏穂 集英社 Amazon タイトルからしてイカしている。わが友ヒットラーのオマージュか? わが友ヒットラー (1968年) Amazon スミスとは一体何者か、と思うが、答えは筋トレマシーン。 筋トレ小説である。 ただ、大会までの道のりを…

第166回芥川賞候補作 島口大樹「オン・ザ・プラネット」を読んだ

オン・ザ・プラネット 作者:島口大樹 講談社 Amazon 苦行のような作品に出会った。 移動系小説で面白かったものはほとんどないが、これも例に漏れずつらかった。 大学生の四人が自動車で横浜から鳥取を目指すというもの。鳥取砂丘で世界の終わりの映画を撮影…

第166回芥川賞候補作 砂川文次「ブラックボックス」を読んだ

ブラックボックス 作者:砂川 文次 講談社 Amazon わたしは群像の方で読んだ。 著者の作品は過去二作読んでいる。 戦場のレビヤタン 第160回 芥川賞候補作品 感想 レビュー - 文学・文具・文化 趣味に死す! 小隊 砂川文次 を読んだ。第164回芥川賞候補作 - …

第166回芥川賞候補作 乗代雄介「皆のあらばしり」 を読んだ

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。 今年の抱負お題がまだなので、とりあえず一発目は芥川賞候補作。 皆のあらばしり 作者:乗代雄介 新潮社 Amazon わたしは新潮の方で読んだ。 旅する練習 を読んだ 第164回芥川賞候補作 - 文学…

第百回 オール讀物新人賞 をりをり よみ耽り を読んだ。

貸本屋の若い女性「せん」が主人公という、時代劇物でもかなり異色なのではないか。 葛飾北斎などが出てくるので、江戸後期の話である。 御公儀の検閲が厳しく、貸本屋も怪しい本を扱うとしょっ引かれる。主人公の父親は本の挿絵を彫る彫り師であったが、御…

貝に続く場所にて 石沢麻衣 165回 芥川賞、ノミネート作品 を読んだ

明日が芥川賞の選考会なので、どうにかギリギリ5作品読破。 まとめは今晩にでも書こうと思う。 貝に続く場所にて 作者:石沢 麻依 講談社 Amazon 久しぶりに読めない作品を読んだ。 おそらく、意図的に読みにくい表現にしていると思われる。 読みにくい理由は…

水たまりで息をする 高瀬隼子 165回 芥川賞、ノミネート作品 を読んだ

今回はあっさり近所の図書館で揃った。 水たまりで息をする 作者:高瀬 隼子 集英社 Amazon あらすじ 地方出身30代半ばの女性が主人公。東京住まい。OL。同年代の男性と結婚して都内のマンションにくらしている。旦那もサラリーマン。 ある日、旦那は飲み会で…

オーバーヒート 千葉雅也 165回 芥川賞、ノミネート作品 を読んだ

オーバーヒート 作者:千葉 雅也 新潮社 Amazon 前作、デッドラインの続きである。前作は修士課程を語っていたが、今作は大学に勤務したあとのはなし。 主人公の名前が○○なのである。なぜだろうか? 名前くらい付けてやればよかったのに。 ぶっちゃけ本人なの…

165回 芥川賞、ノミネート作品 くどうれいん『氷柱の声』を読んだ

氷柱の声 作者:くどう れいん 講談社 Amazon 3.11ものである。ちょうど十年なのでタイミング的にはいいかも知れない。震災を忘れない、というテーマはよく届いた。 3.11ものというと、どうしても美しい顔を思い出してしまう。ぶっちゃけ美しい顔に似ている。…

決闘者 宮本武蔵

決闘者 宮本武蔵(上)(新潮文庫) 作者:柴田 錬三郎 発売日: 2016/03/11 メディア: Kindle版 決闘者 宮本武蔵 が面白すぎる。 エロ、グロ、暴力が常にまとわりついた作品。さらに、「男」否「漢」を描いている。 昨日もブログを更新する前にちょっと読もう…

第164回 芥川賞候補作 母影 を読んだ

母影(おもかげ) 作者:尾崎 世界観 発売日: 2021/01/29 メディア: 単行本 新潮十二月号が近隣の図書館で全滅で、隣町の隣町まで行って読破してきた。 これで、候補作を全て読み終えたことになる。 総評は明日書こうと思う。 ネタバレ有り。 では、本作品の講…

第164回 芥川賞候補作 推し、燃ゆ を読んだ

推し、燃ゆ 作者:宇佐見りん 発売日: 2020/09/10 メディア: Kindle版 推し、というのは自分が贔屓にしているアイドルのことである。 燃ゆ、とはSNS等、ネットで炎上することである。 主人公は女子高生。好きなアイドル、いや、全身全霊を捧げているアイドル…

第164回 芥川賞候補作 コンジュジ を読んだ

コンジュジ (集英社文芸単行本) 作者:木崎みつ子 発売日: 2021/01/20 メディア: Kindle版 コンジュジとはポルトガル語で配偶者という意味らしい。 謎なタイトルである。 この作品も普通に面白かった。特に気に入ったのは外国人バンド、カップスのインタビュ…

小隊 砂川文次 を読んだ。第164回芥川賞候補作

あけましておめでとうございます。 本年もよろしくお願いします。 なかなかラジオ計画が進まない今日この頃。 読者の皆様にとって素晴らしい年になることを祈念致します。 さてさて。 本題に入ろう。 最高だ。面白い。いい作品である。 どのくらい面白かった…

旅する練習 を読んだ 第164回芥川賞候補作

旅する練習 作者:乗代 雄介 発売日: 2021/01/14 メディア: 単行本 乗代氏の作品は前回も読んだが、今回のほうが野心作であることは間違いない。 純文学なのでネタもクソもないが一応、 ネタバレ注意! あらすじを書くと、 著者、と思わしき小説家の主人公が…

額田女王 井上靖 を読んだ

乙巳の変から5年後の、650年から690年頃までの話だろうか。 有間皇子謀反事件、白村江の戦い、遷都、壬申の乱、などを額田は経験する。ただ経験するのではなく、時の支配者である天智、天武の三角関係にもつれながら経験するのである。 白村江の話などを天智…

果実の舟を川に流して 鷺沢萠 を読んだ

葉桜の日(新潮文庫) 作者:鷺沢萠 発売日: 2017/12/22 メディア: Kindle版 この作品、かなりツボってしまった。 さくっと一時間もかけずに読み終わるだろうと読み始めたが、いつの間にか没入してしまって、いろいろ想像を膨らませながら読んだので三時間く…

葉桜の日 を読んだ。感想。レビュー

葉桜の日(新潮文庫) 作者:鷺沢萠 発売日: 2017/12/22 メディア: Kindle版 鷺沢萠はブロ友の湊さんが贔屓にされている作家さんで一度読んでみたいと思っていた。 ふらっと入った本屋にぱっと目にとまったので購入。 女流作家、35歳でお亡くなりになっている…