私小説でもない。この二人称はなんなのだろうか?
本作は二人称でかかれているが、一体だれが語っているのか。作者だろうか。
小説の内容は単純で、主人公はショッピングセンター(イオンみたいな。モールじゃない方の)の喪服売り場のおばさん。おそらく、40代後半から50代? その毎日の繰り返しの、子育てが終わりやることがなくなったような、悲哀のような日常が描かれている。
そのショッピングセンターで13才の少女と出会う。ちょっと生意気な少女だ。その少女との心の交流が描かれている。
まさに、純文学である。あまりにも純文学である。
焦点が非常にぼやけている。少女とのやりとりがメインなのだが、ところどころに回想が挟まり、おばさんの娘などが出てくる。
ゲーセンの若いあんちゃん。同僚、などももっと話に食い込んでくるのかと思ったら、装飾に過ぎない。
一番気になったのは、主人公がこの年代の女性らしくないことである。中にはこういう人もいるのだろうが、なんとも違和感が最後まで残った。イメージ的には、80、90歳の人生の終わりが見えている人間のように感じるのだ。
何もない日常に囲まれて身動きが取れない苦しさ、そこから逃れられない諦観のようなものは伝わってくる。
ただ、小説作品としてどうだ、と言われると、もう一ひねり欲しい気がする。