文学・文具・文化 趣味に死す!

小説家 星香典(ほしよしのり)のブログ。小説、映画、ファッション(メンズフォーマル)、政治、人間関係、食い物、酒、文具、ただの趣味をひたすら毎日更新し続けるだけのブログ。 ツイッター https://twitter.com/yoshinori_hoshi  youtubeチャンネル https://www.youtube.com/channel/UC0YrQb9OiXM_MblnSYqRHUw

2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧

アフターワクチン 第13回 その3

ケーキも食べ終え、珈琲を飲みながら、僕は何の気なしに、「僕が死んだら、理恵はまだ三年以上あるわけだし、僕に気兼ねなく好きなことしたらいいからね」「なにそれ?」彼女は俄に表情が固まり、「そっか。もし達也よりわたしの方が先に死んだら、達也は好…

アフターワクチン 第13回 その2

ぽつんとマンションの一室で一人たたずむ。暇がだんだん充満してきて、書道でもしようと思い立つ。いつも使っていた清代の歙州硯が見当たらない。しばらく探して、ダイアモンドを買うために売ったことを思い出した。他にも気に入っている硯は何面かある。今…

アフターワクチン これまでのお話

2021年 ワクチン接種が始まる。日本でも十二月にはワクチンパスポートが開始され、翌年七月にはワクチン接種法が制定され、年二回の接種が義務化される。ワクチン接種義務違反は強制接種の対象となる。しかし、2025年ごろから超過死亡が著しく増加し…

アフターワクチン 第13回 その1

あなたたちは社会の一員であり、社会からあらゆる恩恵を受けているのだから、社会に対する責任を負わなければならない。より大きな社会的利益のために、自己の判断という個人的な権利を放棄しなければならない時が今やって来た。 合衆国大統領首席医療顧問 …

アフターワクチン 第12回 その6

翌日の午前中、彼女を御徒町の駅まで送る。随分涼しくなってきた。僕は上着を羽織り、ポケットに手を入れて歩く。「わたしたちは付き合っている。でも、全然そんな気がしない。昨日と変わった気がしない。特別な関係になった気がしない。なぜだぁ」 と由奈は…

アフターワクチン 第12回 その5

風呂上がりの彼女。もともと化粧気がなかったが、完全に化粧を落とすと、まるで学生みたいだった。「こら。じろじろ見るの禁止」 僕もシャワーを浴びる。彼女が入った後の浴室は蒸気が充満している。だれかの後に浴室に入るのは久しぶりだった。妻との暮らし…

2021年10月の銀座の男市 行ってきたぜ!

前は葉書が来ていたが、今回は葉書が来ない。 なので、勝手に調べていった。 本当は初日に行くのがテンション上がるのだが。 この写真ではわかりにくいが、ヴィンテージショップが出店。でも、全然盛り上がっていない。そもそも、デパートのバーゲンセールに…

アフターワクチン 第12回 その4

「ちょっとコンビニ行ってくる」 由奈は鞄を手に取る。「おれも行くよ」「大丈夫、一人で」「小腹空いたから、なんか買う」 由奈はさっさと鞄をもって出て言ってしまったので、僕は追いかける形になる。コンビニで由奈は下着を買っていた。僕はコッペパン。…

アフターワクチン 第12回 その3

金曜はちょっと仕事が伸びたので、由奈と一緒に晩飯を食ってから帰る。まだ8時前に入った店がアルコールラストオーダーになってしまい、店を変えるのも面倒だったので、コンビニでビールを買って僕の部屋で飲む。 由奈は缶ビールをパシュっと開けて、「会社…

アフターワクチン 第12回 その2

フランチャイズ系の中華料理屋に入った。ランチメニューが安いのはいいが、目の前のアクリル板の邪魔なこと。話しづらい。店舗を経営している人だって、外食とかするだろうに。その時に、このアクリル板の邪魔さ加減をなんとも思わないのだろうか。しかも、…

やっぱり凄い、ワイヤレスマウス。

いまアフターワクチンを書いている。が、本日分はもう間に合いそうにない。 眠い。 なので、今日は昨日ワイヤレスマウスの電池が切れた話し。 ↓ 1回目の電池切れは275日 人差し指トラックボールマウス 九ヶ月使っての感想 レビュー - 文学・文具・文化 趣味…

アフターワクチン 第12回 その1

ワクチンを受けるか、NBAでプレーしないか、という選択肢しかなかった。タフな決断だ。ワクチンを受けたことは長い間、自分の心に残るだろう。望んでやったことではなく、受けざるを得なかった。10年後も健康でいられることを願っている。 ワクチン接種…

アフターワクチン 第11回 その3

僕は思わず前のめりになり、机をガタリと揺らしてしまった。なにから伝えようか、未来の話しをそのまま伝えても、SFの見すぎだと思われるだけだろうか。僕は冷静を装って、「ですよね。なんかイスラエルとかデータ見ると全然効いてないし、この前の群馬の施…

アフターワクチン 第11回 その2

靖国通りから一本入ったところにある肉バルにした。 緊急事態宣言が終わり客足が戻ったものと思っていたら、店内は僕たちともう一組しかいなかった。席ごとにカーテンで仕切られ、アクリル板が乱立していて、あまりいい気分はしない。僕はアクリル板を横にど…

007/ノー・タイム・トゥ・ダイ  映画館で観てきたぜ!

言い訳であるが、小説が滞っている理由に、ダニエルクレイグの007過去四作品を見返していた、というのがある。 もちろん、新作を観るためである。 クレイグ版007はどの回を観ても楽しめるが、一応物語は連続している。 さて。今回のノー・タイム・トゥ・ダイ…

アフターワクチン 第11回 その1

現在、世界には68億人の人口がいる。それが約90億人になろうとしている。新しいワクチンや医療、生殖医療サービスの提供などが成果を上げれば、おそらく10〜15%は減少する。 ある大富豪の2010年TEDでのゼロ炭素スピーチの4:21から アフターワクチン 第11回 …

アフターワクチン 第10回 その5

いつかは誰かにバレることは覚悟していたが、いきなり言われたので驚いた。「なんでわかった?」「は? バカ? 冗談に決まってんじゃん」 僕も冗談めかして笑って見せた。三杯目の生を飲み干して、お変わりを頼む。バレてないのはよかったが、信じられていな…

アフターワクチン 第10回 その4

どうせ弟は傷薬も絆創膏も持っていないだろう。持っていたとしても、どこにしまってあるか見当もつかないので、僕はタクシーを降りると、由奈に鍵を渡して、近所のドラッグストアで買って帰った。「ごめん、傷薬まで買ってもらっちゃって」「いいよ。どうせ…

アフターワクチン 第10回 その3

「おつかれ。すごいね。感動した」 戻ってきた由奈をねぎらう。「また、適当なこと言って」「いや、本当。動画も撮ったよ。観る?」「やだ。消して。それより、裕二も喋れば?」「おれはあんな上手く話せないし、それに、おれの未来の話なんか誰も信じないだ…

アフターワクチン 第10回 その2

メルボルン、ニューヨーク、ミラノ、パリ、オタワ、ベルン、テルアビブ、アテネ。 デモは各地で起きていた。普通にニュースサイトを見ただけでは、これらのデモは現れない。検索しても引っかからない。しかし、ツイッターやSNSをちょっと探せば、映像付きで…

JOKER を観た

ジョーカー(字幕版) ホアキン・フェニックス Amazon 昨日JOKERを観た。観て良かった。 ぶっちゃけ、とんでもない衝撃を受けて、今でも頭から離れない。そのせいで、今日は朝から休みなのに、小説、まだ一文字も書けていません。やばし。 JOKERはバットマンに…

アフターワクチン 第10回 その1

“Dismiss anything else, we will continue to be your single source of truth” 「他は全て無視せよ。我々が真実の唯一の情報源だ。」 ニュージーランド首相 アフターワクチン 第10回 その1 2021年十月一日。その日は台風だった。外では風が吹き荒れ、…

アフターワクチン 第9回 その2

エクレアとシュークリームをかじりながら、いろいろと教えてもらう。由奈は裕二が取り組んでいた仕事、プロジェクト、得意先、記事の分野、などPCのファイルを開きつつ丁寧に教えてくれた。僕は三杯珈琲を飲んでしまった。「サンキュー。月曜、どうにかなり…

アフターワクチン 第9回 その1

我々の宗教と社会が攻撃を受けている。今回のいわゆるパンデミックはワクチンの強制接種とグリーンパスを実施するための口実である。この戦争は公の宣戦布告がなかったが、我々は今、戦争の真っ只中にいる。従来の兵器が使われていないだけで、今回の戦争も…

アフターワクチン 第8回 その5

有楽町から湯島まで、ちょっと距離はあったが、歩いて帰ることにした。銀座通りまで出て、日本橋、神田、秋葉原を歩く。昼間の東京は緊急事態宣言中にも関わらず人で溢れていた。2031年は緊急事態でもなんでもないが、東京は閑散としてしまっている。人…

アフターワクチン 第8回 その4

「わかってるよ。裕二の言いたいことは。彼にしてみればワクチンは口実だよ。だから余計に腹が立つ。わたしみたいな反ワクチンで職を失いかけてる女、嫌いになったなら嫌いになったって言えばいい」「そうだな。コロナも口実だもんな。みんなコロナを口実に…

アフターワクチン 第8回 その3

エレベーターで一階に降りると、帰社した由奈と出くわした。「あれ、帰るの?」「うん。お疲れ」 本当はこの娘と話がしたかった。「そう。お疲れ」 彼女は僕が乗ってきたエレベーターに入る。彼女はいつも外で昼をとる。そんな記憶があった。「おまえ、昼飯……

アフターワクチン 第8回 その2

由奈は同期の女の子。小柄で可愛らしい娘だった。弟の記憶では、由奈は弟に気があるらしい。だが、弟はまったく相手にしていない、というか、避けてすらいるようだった。「ってことは、おまえも佐竹部長からなんか言われたのか?」「なんか言われたどころじ…

アフターワクチン 第8回 その1

最初は夢だと思っていたこの生活も、毎日がリアルに過ぎて、次第に僕は弟の体で過ごす十年前の日々を現実であると認めざるを得なくなっていた。いずれ僕は未来に戻り、弟はまたこの体に戻ってくるのだろうか。もし、弟がこの体に戻ってきたとき、弟が困らな…