選考会は十七日なので、まだちょっとゆとりがあるが、早速発表してしまいたいと思う。
それぞれの作品の詳しいレビューはリンク先をご覧いただきたいと思うが、改めてひとことずつ感想を述べたい。
yoshinori-hoshi.hatenadiary.jp
バリ山行は、登山道以外で山の中に分け入っていくという反道徳的な作品で、昨今我が国に蔓延っているルール真理教に一石を投じるという意味もあるかも知れない。しかし、ルール真理教の信者ばかりのこの国では叩かれるのがオチである。
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この作品はレビューでも書いたが、元が3倍くらいあって削った感じが否めない。そうでないのなら、曖昧に書きすぎである。ちょっと読者をバカにしていないだろうか。
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個人的に一番面白かったのはこの作品である。終盤だれる感じではあるが、序盤の緊張は本物である。芥川賞はただ小説として面白ければいいというわけではない。時代性、社会性、そういうものも加味されねばならない。ちょっと漫画チックではあるが、良い作品である。
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これも面白いが、あまりにもリアリティが薄い。全体的に薄いならマジックリアリズム的で面白いのであるが、一部分だけ薄い。朝日の存在という核となる部分だけが語られないという、作者自体が作品に振り回されて収拾が付かなくなった嫌いがある。
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正直、この作品は評価に悩む。ただ、場面転換とか、叙述とかが必ずしもスマートではない。本質を評価出来ないので、そういう周辺で評価するしかわたしには出来ない。もっともダークホースを感じる作品。
ということで、いつもの通り不等号で受賞予想をして行こう!
ずばり!
転の声>いなくなくならなくならないで>バリ山行>サンショウウオの四十九日>海岸通り
である!
ずばり! ……と書いた後、十五分は悩んだ。今回は難しい。ずば抜けた作品がなかった。では、受賞作なしか、というと、芥川賞で受賞作なしは第145回以来ないのである。
昔は結構頻繁に受賞作なし、があった。だが、昔と違い今や純文学は風前のともしびである。受賞作なし、などやっている場合ではない。
で、どうせ分からないのなら、わたしの好みで決めてしまおうと、上記のような順位となった。
転の声が審査員にどこまで理解されるか分からないが、まぁ、落ちたら落ちたで仕方がない。