文学・文具・文化 趣味に死す!

小説家 星香典(ほしよしのり)のブログ。小説、映画、ファッション(メンズフォーマル)、政治、人間関係、食い物、酒、文具、ただの趣味をひたすら毎日更新し続けるだけのブログ。 ツイッター https://twitter.com/yoshinori_hoshi  youtubeチャンネル https://www.youtube.com/channel/UC0YrQb9OiXM_MblnSYqRHUw

2021-01-01から1年間の記事一覧

アフターワクチン 第15回 その2

僕と高田は喪服の集団に紛れて門をくぐる。僕たちは法要をするわけでもないので普段着であった。 たまたま本堂から降りてきた住職と目が合った。僕は会釈し、「すごい、混んでますね」「ああ、内田さん。ご覧の通りの忙しさです。坊主、まるで儲からず」 住…

アフターワクチン 第15回 その1

「はっ!」 目が覚めた。自分の声に驚く。「おいおい、大丈夫か?」 高田は心配そうに横目で僕を見た。 僕は車の助手席に乗っていた。高速道路の単調な景色のせいか、いつの間にか眠ってしまって、嫌な夢を見た。「大丈夫か? うなされてたぞ」 ハンドルを握…

アフターワクチン 第14回 その6

由奈は死んでいない、と男は言った。つまり、おまえの返答次第では殺す、という意味だ。ピクリとも動かない由奈は死んでいるのか生きているのか分からない。僕は由奈を巻き込んでしまったことを、今更ながら後悔した。過去に戻ったとき、もうすこし慎重に行…

アフターワクチン 第14回 その5

僕と由奈はいつものように、御徒町の屋台でビールを飲みなが食事をして、僕たちはアパートの前のドラッグストアに寄った。由奈があれでは嫌だというので、新しいコンドームを買う。 店を一歩出たとき由奈が、「あ、買うの忘れた。先帰ってて」 店の中に戻っ…

アフターワクチン 第14回 その4

昼休みに由奈と昨日の話をしようとしたら、山沖先輩も一緒に来るという。断るわけにもいかないので、三人で定食屋に入った。今日のお薦めは鯖味噌。三人とも鯖味噌を注文した。鯖が美味しい季節になってきた。こうやって、自然は一年、コロナなど関係なく過…

アフターワクチン 第14回 その3

コロナ過ということもあり、二次会は設定しなかった。この時代の僕と理恵は明日からの旅行の準備に取りかかる。国外は無理だったので、国内旅行。結局、僕たちは一度も海外へは行かなかった。 高田は友人達と飲みに行くという。そういう約束になっていたよう…

アフターワクチン 第14回 その2

ファンファーレが鳴り響く。灯りが落とされて、開場の入り口にスポットライトとが向けられる。ゆっくりと扉が開き、僕と理恵が腕を組んで入ってきた。僕は幸せそうな顔をしていた。自分の結婚式を生で見られるなんて、普通じゃ考えられないこと。いま裕二の…

アフターワクチン 第14回 その1

マイザーによる治験データの改ざんが行われている。製薬メーカーは2009-2014の間に130億ドルの罰金を支払っているが、問題は何も解決されていない。今回もその繰り返し。いや、今回罰金を支払うのは製薬会社の悪を野放しにしてきた人類そのものだろう。 ある…

トラックボールマウス 次回電池が切れるのは2022年8月5日!?

昨日の夜、アフターワクチン更新しているので、そっちもご覧下さい! トラックボールマウスの電池を、超高かったアルカリ電池に入れ替えた。 エヴォルタ、ネオ! いままで、275日、243日と電池が切れてきた。カタログでは273日もつことになっている。 わたし…

アフターワクチン 第13回 その7

「意識と体を分離?」 僕は首をかしげる。そんなこと、俄には信じられない。 高田は念を押すように言葉を並べていく。「意識や記憶を、体から分離させて飛ばすことが出来るんだ。理論的には。分かりやすく言うと、モバイルAからシムと記憶メモリーを取りだし…

アフターワクチン 第13回 その6

「冗談だろ? そんなのあるわけない」「でも、記憶のエラーだっていう確証もないんだぜ」「おまえ、科学者だろ? 本当に信じてるのか、前世とか」「科学者はあらゆる可能性を排除しない。あり得ない、とか頭から否定するのは素人だ。もちろん、前世の記憶が…

アフターワクチン 第13回 その5

六時ぴったりに、高田は来た。髪が肩に届くほど伸びていた。ただ、五年前と顔つきはほとんど変わっていない。少しやせたくらいだろうか。「これ、土産」 渡されたのはワインだった。三本揃った。今日はとことん酔えそうだった。「高田君、久しぶり、上がって…

アフターワクチン 第13回 その4

寺には午前中に行った。駅から寺まで、僕は理恵の手を握りながら歩いた。特に意味はないのだけれど、なぜか手を繋いで歩きたいと思った。理恵もいやがることなく、僕の手を握り返してくれる。爽やかな、秋の一日。 ここのところ、日増しにワクチン副反応によ…

アフターワクチン 第13回 その3

ケーキも食べ終え、珈琲を飲みながら、僕は何の気なしに、「僕が死んだら、理恵はまだ三年以上あるわけだし、僕に気兼ねなく好きなことしたらいいからね」「なにそれ?」彼女は俄に表情が固まり、「そっか。もし達也よりわたしの方が先に死んだら、達也は好…

アフターワクチン 第13回 その2

ぽつんとマンションの一室で一人たたずむ。暇がだんだん充満してきて、書道でもしようと思い立つ。いつも使っていた清代の歙州硯が見当たらない。しばらく探して、ダイアモンドを買うために売ったことを思い出した。他にも気に入っている硯は何面かある。今…

アフターワクチン これまでのお話

2021年 ワクチン接種が始まる。日本でも十二月にはワクチンパスポートが開始され、翌年七月にはワクチン接種法が制定され、年二回の接種が義務化される。ワクチン接種義務違反は強制接種の対象となる。しかし、2025年ごろから超過死亡が著しく増加し…

アフターワクチン 第13回 その1

あなたたちは社会の一員であり、社会からあらゆる恩恵を受けているのだから、社会に対する責任を負わなければならない。より大きな社会的利益のために、自己の判断という個人的な権利を放棄しなければならない時が今やって来た。 合衆国大統領首席医療顧問 …

アフターワクチン 第12回 その6

翌日の午前中、彼女を御徒町の駅まで送る。随分涼しくなってきた。僕は上着を羽織り、ポケットに手を入れて歩く。「わたしたちは付き合っている。でも、全然そんな気がしない。昨日と変わった気がしない。特別な関係になった気がしない。なぜだぁ」 と由奈は…

アフターワクチン 第12回 その5

風呂上がりの彼女。もともと化粧気がなかったが、完全に化粧を落とすと、まるで学生みたいだった。「こら。じろじろ見るの禁止」 僕もシャワーを浴びる。彼女が入った後の浴室は蒸気が充満している。だれかの後に浴室に入るのは久しぶりだった。妻との暮らし…

2021年10月の銀座の男市 行ってきたぜ!

前は葉書が来ていたが、今回は葉書が来ない。 なので、勝手に調べていった。 本当は初日に行くのがテンション上がるのだが。 この写真ではわかりにくいが、ヴィンテージショップが出店。でも、全然盛り上がっていない。そもそも、デパートのバーゲンセールに…

アフターワクチン 第12回 その4

「ちょっとコンビニ行ってくる」 由奈は鞄を手に取る。「おれも行くよ」「大丈夫、一人で」「小腹空いたから、なんか買う」 由奈はさっさと鞄をもって出て言ってしまったので、僕は追いかける形になる。コンビニで由奈は下着を買っていた。僕はコッペパン。…

アフターワクチン 第12回 その3

金曜はちょっと仕事が伸びたので、由奈と一緒に晩飯を食ってから帰る。まだ8時前に入った店がアルコールラストオーダーになってしまい、店を変えるのも面倒だったので、コンビニでビールを買って僕の部屋で飲む。 由奈は缶ビールをパシュっと開けて、「会社…

アフターワクチン 第12回 その2

フランチャイズ系の中華料理屋に入った。ランチメニューが安いのはいいが、目の前のアクリル板の邪魔なこと。話しづらい。店舗を経営している人だって、外食とかするだろうに。その時に、このアクリル板の邪魔さ加減をなんとも思わないのだろうか。しかも、…

やっぱり凄い、ワイヤレスマウス。

いまアフターワクチンを書いている。が、本日分はもう間に合いそうにない。 眠い。 なので、今日は昨日ワイヤレスマウスの電池が切れた話し。 ↓ 1回目の電池切れは275日 人差し指トラックボールマウス 九ヶ月使っての感想 レビュー - 文学・文具・文化 趣味…

アフターワクチン 第12回 その1

ワクチンを受けるか、NBAでプレーしないか、という選択肢しかなかった。タフな決断だ。ワクチンを受けたことは長い間、自分の心に残るだろう。望んでやったことではなく、受けざるを得なかった。10年後も健康でいられることを願っている。 ワクチン接種…

アフターワクチン 第11回 その3

僕は思わず前のめりになり、机をガタリと揺らしてしまった。なにから伝えようか、未来の話しをそのまま伝えても、SFの見すぎだと思われるだけだろうか。僕は冷静を装って、「ですよね。なんかイスラエルとかデータ見ると全然効いてないし、この前の群馬の施…

アフターワクチン 第11回 その2

靖国通りから一本入ったところにある肉バルにした。 緊急事態宣言が終わり客足が戻ったものと思っていたら、店内は僕たちともう一組しかいなかった。席ごとにカーテンで仕切られ、アクリル板が乱立していて、あまりいい気分はしない。僕はアクリル板を横にど…

007/ノー・タイム・トゥ・ダイ  映画館で観てきたぜ!

言い訳であるが、小説が滞っている理由に、ダニエルクレイグの007過去四作品を見返していた、というのがある。 もちろん、新作を観るためである。 クレイグ版007はどの回を観ても楽しめるが、一応物語は連続している。 さて。今回のノー・タイム・トゥ・ダイ…

アフターワクチン 第11回 その1

現在、世界には68億人の人口がいる。それが約90億人になろうとしている。新しいワクチンや医療、生殖医療サービスの提供などが成果を上げれば、おそらく10〜15%は減少する。 ある大富豪の2010年TEDでのゼロ炭素スピーチの4:21から アフターワクチン 第11回 …

アフターワクチン 第10回 その5

いつかは誰かにバレることは覚悟していたが、いきなり言われたので驚いた。「なんでわかった?」「は? バカ? 冗談に決まってんじゃん」 僕も冗談めかして笑って見せた。三杯目の生を飲み干して、お変わりを頼む。バレてないのはよかったが、信じられていな…