ワクチンを受けるか、NBAでプレーしないか、という選択肢しかなかった。タフな決断だ。ワクチンを受けたことは長い間、自分の心に残るだろう。望んでやったことではなく、受けざるを得なかった。10年後も健康でいられることを願っている。
ワクチン接種を事実上強制された バスケットボール選手
アフターワクチン 第12回 その1
デモという形で、歴史が少し変わってきている。僕が動けば、歴史が変わる。このワクチン被害から、世界を救うことが出来るかも知れない。いや、やらなければならない。
月曜日の仕事は、由奈の助力もあり、どうにかやっていけた。
火曜日、外回りから戻ってきた由奈と昼飯に行こうとすると、山沖先輩が話しかけてきた。
「おまえら、最近仲いいな。付き合ったのか?」
「へへぇ、バレちゃいましたか」
と由奈がふざけて言う。
「全然付き合ってませんよ。ビジネス上のつきあいです」
「アンタ、大恩あるわたしによくもそんな」
バシッと由奈の蹴りをいただく。
「ま、仲いいのは分かったから。昼行くならおれも行こうかな」
山沖先輩は奥さんが出張に出てしまったらしく、いつもの愛妻弁当がないとのこと。
僕たち三人は揃って近くのイタ飯屋に行った。
山沖先輩がトイレに立ったとき、
「ねぇ。先輩にも仕事のこと話した方がいいんじゃない?」
由奈は外回りが多い。月曜日はどうにか乗り越えられたが、山沖先輩に仕事を見てもらえれば、致命的なミスを犯すことはないだろう。
「彼は信用できるか?」
「なにその、諜報員みたいな台詞」
僕はトイレから戻ってきた先輩に、コロナになった後、仕事の段取りとかがよく思い出せないから、面倒を見て欲しいと頼んだ。
「やっぱり、そんな気がしてたんだよな。戻ってきてからおまえ、ちょっと変だったもの。やっぱり後遺症か?」
「いや、そんなんじゃないです。……ええと、でも、そんな感じかもしれないです」
十年後の未来から、弟の体に入ったと説明するより、コロナの後遺症で記憶障害と説明した方が納得してもらえるだろう。
山沖先輩は特段疑うことなく、仕事の内容を教えてくれた。やはり、分からないことは聞くに限る。週末には、僕はなかなか出来る社員になっていたのではなかろうか。これでも、リーマン生活を十年以上耐え抜いてきたのだ。
水、木は愛妻弁当が復活していたが、金曜はまた弁当がないようだったので、先輩を昼食に誘った。
僕と由奈は反ワクチン運動をどう展開するか考えた。Think globally Act locally作戦を決行する。正直、こんなのんびりした作戦で人類の未来を救えるのか心配しかないが、山沖先輩一人説得できなきゃ、未来を変えることなんかもっと出来ない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
さぁ、そろそろ、話しを急展開させていかないと、だれてくる。
連載小説がいかに難しいか、学習中。