言い訳であるが、小説が滞っている理由に、ダニエルクレイグの007過去四作品を見返していた、というのがある。
もちろん、新作を観るためである。
クレイグ版007はどの回を観ても楽しめるが、一応物語は連続している。
さて。今回のノー・タイム・トゥ・ダイであるが……
ネタバレ注意!!!
コロナで1年半公開が延期された。
その理由は簡単だ。この映画の悪役はウイルスを巻いて人を殺すという内容。
なんともタイミングの悪すぎる設定。
悪役はテロで細菌を広める計画らしいが、現実世界の方はもっと巧妙で、人々の利他心や社会的義務などに訴えかけて、自らワクチンを打つように仕向けている。そして、利他心や社会的義務が通用しなくなると、未接種にペナルティを科す形でワクチンを投与している。グリーンパスだ。
バイデンやファウチや尾身などの真の悪を観ていると、テロリストのやることなんて子どもの悪戯レベルである。やはり恐れるべきは国家権力である。リバイアサンである。ホップスはリバイアサンを平和の神などと呼んでいるが、制御不能の怪物でしかないのだ。
さて、肝心の内容。
アクションは最高のひと言。これだけで、金を払う価値はあると思う。
ただ、シナリオは……、うーん、ないわ。
そもそも、ボンドが最後死ぬ時点でないわ。
一応エンドロールの終わりには、James Bond Will Return.と出てくるが、きっとクレイグではない。いや、わからない。クレイグはえらい老けて見えるがまだ53歳である。
ほかにも、首を捻ること盛りだくさん。
謎なのは能面である。普通ミステリーで顔を隠す理由は、仮面の犯人が実は身近な人物だった、とか、仮面の下にAやBやCなど複数の人物が入れ替わるから顔を隠す必要があるのに、この能面は全く顔を隠す必要がない。能面=サフォンである。
さらに、少女時代のマドレーヌを殺しに来るサフォン、サフォンとマドレーヌは役者の年齢だと4歳しか離れていない。だから、マドレーヌが10歳だとしたらサフォンは14歳中学二年生だ。ありえん。
しかも、なぜか殺さずに助ける???? わざわざ殺しに来たのに。
そのあと、マドレーヌの子どもも誘拐しようとするが、「おれと来るのが嫌ならどこでもお行き」とあっさりと解放する。そんなあっさり解放するなら最初から連れてくるなって。
サフォンの日本趣味が耐えがたい。畳をコンクリート打ちっ放しの上に敷くは、洋服の上にジャケットみたく羽織を羽織るは、日本ってそんなに毒草のイメージがあるのだろうか。
能面の時点で嫌な予感がしていたが、的中。どうせなら下駄履いて部下は全員忍者くらいにして欲しかった。
そもそも、日露間で揉めてる島って北方領土? そこにミサイルぶち込むとかもうあり得なさすぎる。
誰かが書いてたが、スパイ系アクション映画というよりは、スタローンやシュワちゃん的なマッチョ系アクション映画になっている。これまミッションインポシブルにも言えることだ。
敵の裏を掻くとか、謎を解き明かす、とかはなく、ラッセル車のごとく敵陣に突っ込んでいく。
最後の、「げ、思ったよりもデカかった。持ってきた爆薬じゃ全然足りないから爆撃しろ」とか悲しすぎる。
これじゃ終われないだろ。トムは55歳でM:Iをやっているのだから、クレイグもぜひ、もう一度、本当のラストを見せてもらいたい。
タイトルが「死ぬには早すぎる」である。意味深なタイトルである。
今なら全部プライムで観られる。