今回もどうにか間に合った。発表が17日なのでギリギリである。
ではもう、いきなり受賞予想発表!
ずばり!
東京都同情塔
である。
不等号を付けると、
東京都同情塔>迷彩色の男>アイスネルワイゼン>猿の戴冠式>Blue
といった感じだろうか。
小説としての完成度の差が今回ほど明らかになっている回も珍しいのではないだろうか。
前回は「ハンチバック以下はどんぐりの背比」と書いた。ハンチバックは抜きんでていた。作品のクオリティというよりも、勢いが抜けていたのだ。パワーが抜けていたのだ。他の作品が自動車だとしたら、ハンチバックは飛行機だったのだ。
今回は違う。東京都同情塔がクラウン(新型クラウンは好きではないが)だとしたら他の作品はカローラや軽自動車である。(カローラクロスとか、もはやどこがカローラなのか意味不明だ。いわゆる昔のカローラや安かった頃の軽自動車を連想して欲しい)
作品自体にそれほどパンチがあるわけではないのであるが、その他のと比べて、シナリオ、場面転換、表現、ネタ、構成、などが調っている。文学としてどうかといわれると、ちょっと微妙であるが、そのあたりは他の作品も微妙である。
詳しい評はリンク先をご覧いただきたい。一言ずつコメントを書こう。
yoshinori-hoshi.hatenadiary.jp
上記の通り、クオリティが一番高かった。
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今回二位に付けた。LGBTネタには食傷であるが、それでもまだ訴求効果はあると思う。冒頭に死体を転がせ、はミステリーの常套手段であるが、本作も上手く転がしたと思う。
今回の候補者中唯一の男性である。そろそろ芥川賞にもアファーマティブアクションが必要なのでは? このままでは男性の書き手が居なくなってしまう。そういうバランスも加味して二位にした。文学は男女差がもろに出る。あまり男を迫害するものではない。
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ラノベ的で読みやすい。三位にした。ラノベ読者層が文学に移る切っ掛けにもなるだろう。ただ、あまりにも苦悩がしょぼい。はっきり言って、現代人はさほどの苦労はない。苦労がないことが苦悩である、みたいな言い方すらある。それが文学になっていた時代もある。しかし最近、二カ所で戦争は始まるわ、能登で災害が起こるわ、で個人の個人的苦悩に共感が得られるかといえば、みんな敢えて共感しないという選択を取るのではなかろうか。たとえ、自分も同じ個人的苦悩を抱えていたとしても。
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さて、この作品は難しかった。正直読み切れた、という自負はない。審査員がこの作品をどう読むか気になるところである。幻想小説でもない。妄想小説なのである。その妄想が面白いかといわれると、やはりこれも苦悩がしょぼいとなってしまう。
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つまらなくはないが、小説としてクオリティが低い。もう少しブラッシュアップしないと芥川賞は難しいのではなかろうか。
発表は17日。わたしも楽しみにしている。