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小説家 星香典(ほしよしのり)のブログ。小説、映画、ファッション(メンズフォーマル)、政治、人間関係、食い物、酒、文具、ただの趣味をひたすら毎日更新し続けるだけのブログ。 ツイッター https://twitter.com/yoshinori_hoshi  youtubeチャンネル https://www.youtube.com/channel/UC0YrQb9OiXM_MblnSYqRHUw

アフターワクチン 第10回 その1

“Dismiss anything else, we will continue to be your single source of truth” 

「他は全て無視せよ。我々が真実の唯一の情報源だ。」

ニュージーランド首相

 

 

アフターワクチン 第10回 その1

 

 2021年十月一日。その日は台風だった。外では風が吹き荒れ、時折激しく降る雨が窓ガラスを叩く。
 緊急事態宣言が開けても、これでは緊急事態宣言中よりも人流は少ないだろう。
 YAHOOニュースやツイッターでは、緊急事態宣言が開けてもコロナやワクチンの話題で盛り上がっている。専門家は急激な感染者の激減を適当な理由を付けてごまかしている。正直に分からない、という者もいる。
「東京の感染者は八月末までに一日三万人超、少なく見積もっても七千人超になる」という京都大学教授の予想は豪快に外れた。
 彼はどうして外したのだろうか。彼だけじゃない。多くの専門家が恥も外聞もなく桁外れに予測を外している。正しい予測が出来る専門家はいないのか。
 いや、実際に正しい予測をしている専門家も、詳しく調べるといるのだ。だが、メディアが出鱈目な専門家ばかりを選んでカメラの前に立たせるので、専門家と言われる連中がみんな出鱈目な存在に見えてしまう。
 政府とメディアはどうして出鱈目な専門家ばかりをかき集めるのか。その答えは、このパンデミックの正体を国民の目から韜晦するため、と考えるのが一番合理的だ。
 出鱈目な専門家、補助金詐欺の座長、デマを拡散する大臣、目の死んでいる首相。海の向こうでは老大統領が見境のない接種義務に乗り出した。イスラエルは給付金を止め、グリーンパスがないと働けないようにした。
 どさくさに紛れてHPVワクチンの積極的勧奨再開。ソトロビマブなる新治療薬が出て来た。
 由奈からラインが来た。明日は十時に新宿パルコとのこと。僕は了解と返事を送る。
 雨が弱くなった時を見計らって、外へ出てみた。風が強い。小雨を避けるべく傘を開いたら、骨組みが裏返った。
 アメ横で適当に食事をして、趣味の書道用品を買って帰る。ゆっくりとした一日だった。筆で文字を書きながら考えた。
 来年、ワクチン接種法が制定され、ワクチン接種は義務化される。ワクチン接種法が改正されるまでの2026年までの間、国民は年一回の接種が義務づけられる。2026年ワクチンの副反応が明らかになる。それは接種から20年以内に死亡するというものだった。
 2031年に妻の理恵が死んだ。あと追うべく僕は自殺を試みる。しかし、目が覚めると2021年の弟の体に乗り移っていた。弟は2021年にコロナに罹って死んだはずだった。だけど、弟の命日に目が覚めて、僕は生き続けている。僕自身、達也としての記憶を持ちつつ、弟の記憶も頭の引き出しには入っていて、人の顔や名前を覚えている。2021年、今この時代にも僕である達也はいる。今この瞬間、2031年から弟の体に入った僕と、2021年の僕がいる。僕が二人いる? 一体僕は誰なのだろうか。弟の魂はこの体に戻ってくるのだろうか。
 夕方、由奈が来るかも知れないと、ちょっと部屋を片付けたが、インターホンが鳴ることはなかった。その代わり、この時代の僕からラインが届いた。日曜日の待ち合わせ場所だ。
 御茶ノ水駅、水道橋口、十八時。式場との打ち合わせのあと行くから、もし後れたらすまない。
 と書かれている。式の一週間前の打ち合わせ。確か、打ち合わせが終わったあと、僕は会社から呼び出されたような気がした。どこかの店舗でなにか問題が起きたような……。しかし、それは今の僕にはどうしようもないことだ。僕は、楽しみにしてるよ、と返事をした。

 

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今日は早めの更新が出来た。明日は休みだからゆっくり書けるぞ。

 

観たい映画が溜まっている。

 

観た映画のレビューも溜まっている。

 

うーん。やっぱり007を見直すか、それともJOKERを見るか。今日は一本は観よう。