今回のノミネートは以下の通り。詳しい感想はそれぞれのリンク先に。
ハンチバック 市川沙央 を読んだ - 文学・文具・文化 趣味に死す!
第169回芥川賞ノミネート作品 千葉雅也「エレクトリック」(新潮2月号)を読んだ - 文学・文具・文化 趣味に死す!
第169回芥川賞ノミネート作品 児玉雨子「##NAME##(ネーム)」(文藝夏季号)を読んだ - 文学・文具・文化 趣味に死す!
第169回芥川賞ノミネート作品 石田夏穂「我が手の太陽」(群像5月号) を読んだ - 文学・文具・文化 趣味に死す!
第169回芥川賞ノミネート作品 乗代雄介「それは誠」(文學界6月号)を読んだ - 文学・文具・文化 趣味に死す!
今回は死ぬほどつまらない作品、全く意味不明な作品、というのはなく、どれもそれなりに楽しめた。ただ、突き抜けている作品はひとつだけだ。
では早速受賞予想。
ずばり!
市川沙央 ハンチバック
である。
恒例の順序を付けると、
ハンチバック>##NAME##>エレクトリック>それは誠>わが手の太陽
と予想してみた。
はっきり言って、ハンチバック以下はどんぐりの背比べである。
ただ、わたしも長らく芥川賞予想をしている。芥川賞は作品ではなく作者に与えられる賞だという要素も大きい。ゆえに、素晴らしい作品が必ずしも受賞するというわけではないのである。
それを加味すると、わが手の太陽が受賞する公算が高い気がする。石田氏の作品はクオリティが高い。かつ多作である。
しかし、芥川賞候補が掲載されている文芸誌が、図書館で容易く借りられてしまう。以前に比べ、芥川賞そのものが世間から顧みられなくなっているとつくづく思う。芥川賞が、というよりも、小説そのものが、といった方がいいかも知れないが、中でも純文学は古典芸能に近いものになってしまった感がある。
そのうち古典芸能よろしく、文芸誌にも政府の補助金が投入されるのではなかろうか。槍や刀が武器ではなく博物館の鑑賞物と化すように、純文学もごく少数のマニアが楽しむだけの、社会と切り離された遺物になってしまうのではなかろうか。