こちらも献灯使に収録されている短編。同じ原発事故を扱ったものであるが、こちらは献灯使とはリンクしていない。
放射能で住めなくなった日本を脱出して中国に移住する、という話。短編だが、話の筋は二つあって、一つは原発の恐怖を描くこと。原発が想定外の出来事で大爆発をして、日本に住めなくなった政治家が中国に移住することの二つ。
中国に関するヘイト運動をしていた政治家は、中国にいったら死刑になるのではないかと、その心理が描かれている。そもそも、この政治家が中国に対するヘイト活動をはじめた理由が、興奮して勃起するからという身もふたもない理由で、ある意味、この小説は嫌中派にたいするヘイトにもなっている。なので、原発と嫌中派のダブル風刺となっていて、この紙幅ではちょっと無理がある感は否めない。コミカルな作品である。
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