乗代氏の作品は前回も読んだが、今回のほうが野心作であることは間違いない。
純文学なのでネタもクソもないが一応、
ネタバレ注意!
あらすじを書くと、
著者、と思わしき小説家の主人公が小学校6年生の姪っ子と歩いて、我孫子から鹿島まで行く話。利根川沿いをひたすら歩く。姪っ子はサッカーの練習と言うことで、ドリブルやリフティングをしながら行く。
その途中にコロナのせいで内定辞退を迫られた女子大生と遭遇し、一緒に鹿島を目指す。
主人公は文章スケッチをしながら歩く。柳田や小島信夫など、この土地に縁のある文士の解説を加えながら、風景描写に余念がない。
楽しい旅行は終わり、帰ってくると姪っ子は交通事故で死亡。
これほどつまらなそうなあらすじはなかなかない。
正直に申し上げてつまらなかった。そもそも、旅行はハッピーエンドなのだ。無事に楽しく行って帰るのである。なのに、最後の数枚で姪っ子が交通事故で死ぬ必要がどこにあるのか、謎すぎる。普通にハッピーエンドで終わらせてなんの問題があるというだ? ツマラナイ上に後味まで悪い。
さらに、人物がいただけない。おそらく姪っ子は純なるものとして書いたのだと思う。ならば、不純なものをどこかに入れればいいものを、もう一人の女子大生まで純なるもので登場する。ちなみに、主人公は無味無臭である。
だいたい、我孫子から歩いて鹿島に向かう小説家と小6ロリが、偶然歩いて鹿島に向かう無垢な女子大生と遭遇する可能性なんかあるか? 気持ちはわからないではないがご都合主義の誹りは免れんぞ!
この作品を野心作と言ったのは、作品の合間合間に文章スケッチが入るからだ。さらに、柳田などを引っ張り出して、ちょっとした評論となっているからだ。
申し訳ないが、この作品の受賞はない。(まだこれしか読んでいないので他のがもっと駄目な可能性もなきにしもあらず。いや、ないと信じたい)
前回の乗代氏の作品の感想。前回も乗代氏の作品を最初に読んでいる。何かタイトルに惹きつけるものがあるのだろうか??
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1月19日追記
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