推し、というのは自分が贔屓にしているアイドルのことである。
燃ゆ、とはSNS等、ネットで炎上することである。
主人公は女子高生。好きなアイドル、いや、全身全霊を捧げているアイドルがいるのであるが、そのアイドルがファンを殴ったということで炎上する。それでも、アイドルの推しをやめない主人公。
推しをやめないどころか、学校をやめたり、バイトをクビになったり、ニートになったりと忙しい。
推しを媒介としてSNSでのつながりなども描かれている。
ぶっちゃけ、コンジュジと被っている。
第164回 芥川賞候補作 コンジュジ を読んだ - 文学・文具・文化 趣味に死す!
コンジュジは生きているアイドルではないが、死んだアーティストを追いかける。
コンジュジの方が作品の質が高いと思う。コンジュジはアイドルの追っかけと主人公の人生が渾然一体となって描かれている。
推し、燃ゆ、の方は主人公の生活とアイドルの推し、というのがどうもギクシャクしている。むりやり二つの主題を埋め込んだ感じだ。SNSも主題の一つだとすると三つになってしまう。それらが、どうもつながり悪くギクシャクしているのだ。
作品としてつまらなくはないし、回によっては受賞の可能性もあっただろうが、今回は相手が悪かった。どうしても比較してしまう。
あと、すこし古くささを感じた。コロナが出てこないから、というのもあるのかも知れないが、SNSとか炎上とか、その辺のネタが数年前のように感じてしまうのだ。改稿して発表されたのかも知れない。
読んで損とはいわないが、受賞は難しいだろう。
1月19日追記
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