文学・文具・文化 趣味に死す!

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小隊 砂川文次 を読んだ。第164回芥川賞候補作

あけましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いします。

なかなかラジオ計画が進まない今日この頃。

読者の皆様にとって素晴らしい年になることを祈念致します。

 

 

さてさて。

本題に入ろう。

 

最高だ。面白い。いい作品である。

どのくらい面白かったかというと、一度も本を閉じることなく最後まで読み終えた。 

 

受賞してもおかしくない。まだ、他の3作品を読んでいないので分からないが、この作品は十分受賞する可能性があると思う。

 

ということを前提に、受賞できない場合どんな問題があるか考えてみたい。

 

 

ネタバレ注意! といってもほとんどネタはない。

 

 

あらすじ

 

自衛隊が北海道で謎のロシア軍と戦うという話。どうもロシアの正規軍ではないらしい。謎のロシア軍なのである。

 

架空戦記の小説であるが、背景は今ひとつよくわからない。ちょっと手抜きの感がある。半分くらいまでは陣地や部隊の説明。戦闘が始まるか始まらないかの緊張感を表現しているようだが、正直退屈で本を閉じそうになった。

 

だが、戦闘が始まるとこの小説は一変する。生き生きと、読者が戦地に赴いたように、硝煙のにおい漂う描写が永遠と続く。

 

結局主人公の部隊は壊滅。主人公は退却するのである。そこで、日常のラジオなどを聞いて、日常と戦場の対比、などを出そうとするが、そんな小手先のことなどどうでもいいほど戦闘が面白すぎる。

 

砂川氏はもともと軍関係の仕事をしていたらしく、前候補作の

 

戦場のレビヤタン 第160回 芥川賞候補作品 感想 レビュー - 文学・文具・文化 趣味に死す!

 

も戦争関係の話。だが、こちらは戦闘シーンがなく面白かった記憶がない。「ドンパチがない」と書いている。

 

今回の作品はちがう。ドンパチが全てだ。

 

おそらく編集者とこんな会話があったと予想される。

「先生、もっとアクションシーン入れたらリアルティが出るんじゃないですか」

「よっしゃ、一発アクション小説書くか!」

みたいな。

 

 

前後関係を無視して、ひたすらドンパチをやりまくる。

 

ゲスな喩えをするとアダルトビデオである。AV女男優が三文芝居をして、メインは情事、といった感じ。名作AVである。

 

本作品はメインは戦闘。その背景なんぞ戦闘の為のお膳立てに過ぎぬのだ。

 

いまから、この作品に対する芥川賞審査員の講評が楽しみで仕方がない。

 

小隊

小隊

  • 作者:砂川 文次
  • 発売日: 2021/02/11
  • メディア: 単行本
 

 

 

1月19日追記

 

全体の総評&受賞予想はこちら!

第164回芥川賞候補作を全部読んだ。講評&受賞予想!! - 文学・文具・文化 趣味に死す!

 

個別作品感想。

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