ネタバレあり
ネタバレしないとレビューのしようがないので、ネタばらしすると、アキちゃんという女の子は今流行りのLGBTで、生物学的には男であるが、精神的には女の子なのである。
主人公は小学5年生。アキちゃんは同じクラスだ。アキちゃんに主人公はいじめられる。といっても、それほど辛辣ないじめではなく、主人公もいじめられている割には仲良くしているのである。それでいて、嫌いだと連呼する。
わたし的にこの小説の読みどころは、主人公の心の醜さだと思う。近年はLGBT肯定の作品が多いが、この作品はアキちゃんを否定している。
主人公は6年の一学期に転校する。しかし、大学で小学校時代の友人と再会して、アキちゃんのその後を知ることになるのだ。
アキちゃんのその後を知った主人公が思う最後の1行がいい。実にいい。
これは受賞の可能性がある。まだ他の作品を読んでいないのでなんとも言えないが、万人受けする読みやすさはある。ただ、これもアキちゃんが実はLGBTだったというミステリー仕掛けが減点になるかもしれない。あと、前々回の受賞作「むらさきのスカートの女」と雰囲気がかぶるのも気になる。