文学・文具・文化 趣味に死す!

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第166回芥川賞候補作 乗代雄介「皆のあらばしり」 を読んだ

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

今年の抱負お題がまだなので、とりあえず一発目は芥川賞候補作。

 

 

 

わたしは新潮の方で読んだ。

 

旅する練習 を読んだ 第164回芥川賞候補作 - 文学・文具・文化 趣味に死す!

 

最高の任務 乗代雄介 を読んだ 芥川賞候補作品 感想 レビュー - 文学・文具・文化 趣味に死す!

 

この作家は確実に成長していると感じる。乗代氏の作品は過去二回読んだ。ぶっちゃけ、どちらもつまらなかった。

 

が、今回の作品は人に勧めることが出来る面白さを備えている。

 

ただ、歴史好きじゃないと、投げ出してしまう。歴史好きなら後半はページを繰る手が止まらないくらい面白い。前半はかったるい。大阪弁のおじさんが鼻につく。高校生が年上に対し失礼。荒唐無稽etcetc。

 

内容は、江戸時代の一冊の書物を巡る話。栃木市のある旧家がその書物の作者と関わりがあり、栃木市の地誌を元に旧家の謎を探っていくという、サスペンス、ミステリーものである。歴史ミステリーか。

 

歴史研究という直球なので、暗さはない。高校生とおじさんの会話で進んでいくが、やっていることは「逆接の日本史」的なノリだ。最後にはどんでん返し? とまでは行かないものの、思わず笑ってしまうような仕掛けまで施されている。(この終わり方には賛否両論があると思う。人によっては短絡的で今までの積み重ねをぶちこわしていると感じるかも知れない)

 

さて、受賞予想であるが、わたしは充分に受賞ラインには達していると思う。ほかの候補作をまだ読んでいないので断言は出来ぬ。芥川賞っぽくない、と言えばぽくないが、これはこれでありなのではないかなぁ。