苦行のような作品に出会った。
移動系小説で面白かったものはほとんどないが、これも例に漏れずつらかった。
大学生の四人が自動車で横浜から鳥取を目指すというもの。鳥取砂丘で世界の終わりの映画を撮影する。
映画のシーンと移動のシーンが1:4くらいの割合で交互に出てくる。
移動中なにをしているかというと、永遠とダベっている。それも、時間の話や、存在の話や世界の話。いわゆる哲学的なことを話しているのであるが、そこは小説、すべて有耶無耶で終わる。ひと言で言うと訳が分からぬ。
主人公は大阪に寄って高校時代の友人、島口と会うのであるが、この島口は実は作者。どうも、映画の解説も作者自身がしている。そして、「この話は本当のことである」となんども断るのだ。
選考委員の良識を期待したい。