最近は村上春樹訳の方が有名かも知れないが、わたしが読んだのは龍口直太郎訳である。
ティファニーで朝食をはおそらく、映画でみんなご存知のはずである。わたしも映画を観ていた。そのせいで、ホリーがオードリーに見えてしまってしょうがない。オードリーは凄い役者だと改めて思う。というのも、オードリー以外の登場人物は誰ひとりとして浮かんでこないのだから。
映画はティファニーが視覚的に現れるので非常に印象に残る。が、小説では文章の中でかるくティファニーが出てくるだけなので、もし、タイトルがティファニーで朝食を、でなかったならば、グッチかエルメスかヴィトンだかなにか思い出せないくらいだ。
このタイトルのセンスは、長嶋有の「サイドカーに犬」とか「猛スピードで母は」に通じるものがあるかも知れない。
さて、本作ではマティーニがかなり出てくる。ホリーの部屋でパーティのシーンではマティーニの材料が用意されている。それをラスティーさんが作るなどの描写がある。
また、ホリーの旦那が帰った後は、ホリーはベルの店でマティーニを飲みまくる。つまり、それほど、マティーニとは普通の酒なのである。
わたしはボンドの真似をして、ウォッカ・マティーニ、ノット、ステア、で飲んだことはあるが、考えてみたら普通のマティーニの味を忘れていた。
で、先日バーに行ったときマティーニを注文した。が、出てきたマティーニは麦茶みたいな色をしていて、わたしの想像を見た目からして裏切ってくれた。しかも甘い。
調べて知ったが、茶色いマティーニはカラメル入りの甘いベルモットを使って作るものらしい。マティーニと一口で言ってもいろいろ種類がある。ベルモットを少な目でジン多めで作るマティーニはドライ・マティーニらしい。
おそらく、オードリーは甘いマティーニを飲んでいたのではないだろうか。女が好きそうな味であった。
さて、内容であるが、映画と同じ感想である。自分で書いた映画のレビューを読み直して、まったく同じ感想だった。
「ティファニーで朝食を」を見た - 文学・文具・文化 趣味に死す!
やはり、万引きはあり得ない。デパートで中学生的万引きを繰り返し行って気晴らしをしているらしい。小説では、クリスマスツリーの飾り付けで風船を付けようと、風船も万引きしてくる。万引きオードリーなど見たくない。
ラストは映画とちがう。ホリーはアフリカに行ってしまうのだ。
この辺の感性はやはり受け付けがたい。あと、主人公がオードリーに小説を貶されて腹を立ててボコボコに殴るとか、やっぱり毛唐は凶暴である。これに比べると、しろばんばの時代の日本人の方が遙かに共感出来る。
井上靖は1907-1991
であるから、時代はそこそこ被っている。ティファニーで朝食をは世界的な名作である。やはり、日本人にはわからない、欧米人ならではの感性があるのだとおもう。
村上訳
- 作者: トルーマンカポーティ,Truman Capote,村上春樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/11/27
- メディア: 文庫
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