諸賢は墨池をご存じだろうか。墨池とは墨液を貯めておく容器である。学校の書道では、墨を使わないくせに硯を使う。硯を墨池がわりに使っている。正直謎である。最初から墨池を使った方が遙に合理的だと思う。
では。じゃーん。本物の墨池を買ってしまった。
おー。割れないようにフカフカに包まれている。
蓋は超重要なのだ。墨は擦っているうちに蒸発してしまうから。
おしゃれな取っ手がついている。
注ぎ口もついている。使うことはなさそうだが。
さて、墨池を購入した理由は条幅を仕上げなければならないからだ。条幅とは136cm×35cmの大きさの紙である。半切(はんせつ)とも呼ばれる。
わたしが所属する流派は墨液は御法度で、バレたら一発破門である。
しかし、小さい硯しか持たぬわたしは、セコセコ墨を擦っては墨池に移すという作業を繰り返さなければならない。
以前はプラスチック製の安物を使っていたが、気が乗らないので、瀬戸物製に替えてみた、という次第だ。
↓プラスチック製
うむ。やはり瀬戸物製の方がやる気が出る。間違いない。
「道具から入っちゃって格好つけて、下手くそのくせに笑っちゃうよ」と同居人からあざ笑われるが、趣味は道具から入らなければ駄目だ。上手い下手の問題ではないのである。そのことが分からぬ同居人をわたしが笑うという、おおよそ書道の精神とはかけ離れた状態の今日この頃。