不良の男が女と街を抜け出す話し。まさに文学的な作品である。ジャンル的には青春小説であろうか。男の鬱屈がよく描かれている。男についていきたい女の悲しさも描かれている。ある夏の日、引っ越そうと言うことになり、富士の見える田舎に住処を探す。
しかし、よそ者である彼らは物件を得られない。男と女は川縁を目指す。その隙間隙間に、過去の出来事をフラッシュバック的に挟んでいく。上手い手法であり、効果的である。
ただ、がむしゃらに街を出たがる。街を出ればどうにかなる訳ではない、ということはわかっている。それでも、出ずにはいられない。人間の性が伝わってくる。
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日本文学100年の名作第8巻1984-1993 薄情くじら (新潮文庫)
- 作者: 池内紀,松田哲夫,川本三郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2015/03/28
- メディア: 文庫
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