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塩山再訪 アイロンのある風景 を読んだ。

 

 ↑どちらもこれに入っている。

 

塩山再訪

浮気した妻を許してやったら自殺されてしまった不運な男が、やはり旦那をなくした女と共に故郷に帰ると言う話。しかし、浮気した妻を許したら自殺したという話は一瞬だけ出てくるだけで、ここをもっと掘れそうなのにもったいない感じ。

で、久しぶりに帰った故郷に懐かしさを感じる。いろいろ思い出すうちに旧友がやっているホテルのバーに行く。そのバーのバーテンは親友だった旧友で、主人公を一発で見抜く。

滅茶苦茶記憶力がよく、過去のことをあれこれ覚えている。主人公は酒が回り一人で散歩に出る。そして、過去にその親友の傷つくことを言って一週間無視されたことを思い出した。そして、ついさっき、その親友が傷つく台詞を言ってしまったのだ。急に残してきた女のことが心配になる。という話。

さて、この小説をどのように解釈したらよいものか。おそらく読む人によって様々な感想が持たれると思う。わたしはこれを読んで、故郷というものが欲しくなった。というのも、生まれてからずっと、同じ場所、同じ町に住んでいる。別にこの町が嫌いなわけではないが、どこか、誰も知らない新しい町で生活を始める、というちょっとした憧憬を隠し持っているのだ。

 

 

アイロンのある風景

天下の村上春樹先生の作品である。村上春樹というと長編のイメージを私は持っているので短編は新鮮であった。そして、やっぱり村上春樹らしいのだ。とくに、最後の方は。

この作品は阪神神戸震災のあとに書かれた作品で、そう思って読むとまた違う一面がある。震災のあとの虚無的な感覚が描かれている。

ただ、この作品がよく出来た作品かどうかはよくわからない。なにが面白いのかもわからなかった。ただ、タイトルの付け方はさすがだと思った。「アイロンのある風景」気になるではないか。話の内容とは特に関係ないのであるが。これがもし、「焚き火」とかだったら、はっきり言って駄作である。

やはり、この作品の醍醐味はタイトルだと思う。こういうタイトルの付け方が許されるのか、タイトルを付けあぐねている作家は、是非この作品を読んでみることを薦める。

 

神の子どもたちはみな踊る (新潮文庫)

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