
日本文学100年の名作第9巻1994-2003 アイロンのある風景 (新潮文庫)
- 作者: 池内紀,松田哲夫,川本三郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2015/04/30
- メディア: 文庫
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見事に人間模様を描ききった小説。すが、という14歳の少女が主人公。時代は明治初期だろうか、銚子、漁村、漁師の父親は台風で死亡、幼子&病弱の弟を抱えているという、目も当てられないシチュエーションだ。
すがは海女になるが、大波に殺されそうになる。海女は辞めたい。そこで、小料理屋に勤める。最初は、少しの金でもいいから、という小さな欲が、男と寝るだけでひと月分の給金を稼げたり、そんなことをしているうちに、下駄が欲しい、着物が欲しい、とだんだん欲深い女に変わる。まさに、少女から女へである。
小料理屋の亭主は最初は楽隠居の世話でもさせようとしていたが、自分で稼げるようになったすがを見てそれをやめる。
三人称他視点で、様々な角度から人間の彩模様を浮かび上がらせる。レベルの高い作品だ。
これで9巻も終わりである。次は8巻を読もうと思う。

日本文学100年の名作第8巻1984-1993 薄情くじら (新潮文庫)
- 作者: 池内紀,松田哲夫,川本三郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2015/03/28
- メディア: 文庫
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