とにかく鬱な小説。最初から最後まで鬱。唯一いいところは、最後まで絶望で一貫しているところだろうか。こういう悲しい日々というのは人生の中にはある。主人公はバイトをしてもやめてしまうし、無断欠勤はする、メール電話も無視、ジムもあまり行かない。やることと言えば家で二度寝してウダウダしているだけ。よくこれで主人公になれたなとある意味感心する。
類は友を呼ぶで、その友達もよくわからない奴らが多くて、酩酊してトラックに轢かれるわ、不倫して自殺するわ、病気の女はそのまま死ぬわ、破壊力だけはすさまじい。静かな破壊力である。
梅生君だけは社会で通用しそうなのだが、やっぱりどこかおかしい。キャラたちの壊れ具合というのは、この気ぜわしい社会にたいする警鐘なのかもしれない。