あれはデモなんてもんじゃなくて、暴動である。
日本のお上品な安倍やめろデモ、反原発デモ、辺野古の座り込みとはちょっと違う。ぜひ、BBCの映像を見て欲しい。
もちろん、数十万の参加者全員が暴徒になっているわけではなく、一部の極右と極左の過激派だと言うが、いずれにしろフーケは破壊されたり街の一部が燃えたりしていたわけである。
もともと燃料税の増税反対で始まったデモであるが、その根幹には失業率9%とか、莫大な社会保障費による税率の高さなどがある。
日本では社会保障のために税率を上げよ、などと暢気にいう人がいるが、税率を上げるということは即ち増税なので、その辺のリスクを考えた方がいい。
「フランスは連帯して抗議活動を行う。日本は分断されていて連帯する抗議が行えない」
なども聞いたことがあるが、あまり連帯するとこういう暴動になる。
この記事では、暴徒を一部の極左極右だとして、それ以外はおとなしいデモ隊、と言っている。おそらく、それは事実なのだろう。だが、それは通用しないと思う。
わかりやすい「フランスの黄色いベスト運動」とは(1)普通のデモの広がりからシャンゼリゼの暴動まで(今井佐緒里) - 個人 - Yahoo!ニュース
フランス人が破壊活動の責任を一部の暴徒になすりつけるのは間違いである。なぜなら、あれだけ大がかりなデモを行うからこそ、暴徒が出現するのだ。もし、デモそれ自体が存在しなければ、暴徒などは存在しなく、ただの犯罪者が存在するだけに過ぎないのだ。
民意という支えがあって暴徒が出現する。戦争責任を一部の指導者だけになすりつけられないのと同じで、デモ隊も破壊活動の責任を一部の暴徒にだけなすりつけることはできない。
デモ隊は暴動を否とするならば、デモそれ自体をやめなければならず、デモを続けるならば、その結果生まれる暴動は是としなければならない。
フランスの暴動は他人事ではない。今先進国は大荒れに荒れている。それは、社会保障と社会保障を担保する税の均衡が崩れていることに起因する。均衡が崩れれば崩れるほど、それまで気にならなかった格差が浮き上がってくる。富裕層への憎悪は増し、富裕層は低所得層を猜疑の目で見る。社会の一体感は薄れる。その結果なおさら社会保障が難しくなる。この負のスパイラルに陥っているのだ。