文学・文具・文化 趣味に死す!

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第164回 芥川賞候補作 母影 を読んだ

 

母影(おもかげ)

母影(おもかげ)

 

 

新潮十二月号が近隣の図書館で全滅で、隣町の隣町まで行って読破してきた。

 

これで、候補作を全て読み終えたことになる。

 

総評は明日書こうと思う。

 

ネタバレ有り。

 

では、本作品の講評。

 

小学生の女の子が主人公。その女の子の一人称で物語は進む。というか、本作品に物語というほどのストーリーはない。小学生の女の子の見る世界を描いている。

 

さて、この小学生、はたして何年生なのだろうか? 最初の印象ではかなり幼く感じる。

 

なぜか、母が務める性感マッサージ店で、母親が性的サービスをする隣のカーテンで待機する。女の子はそこで母親が何をやっているかわからず、いろいろと想像を膨らませる。

 

しかし、漢字の書き取りで「友達」という漢字が書けるという記述がある。この作品の時代も曖昧であるが、現在「達」は小学校4年で習う漢字である。

 

四年生だとしたら色々な意味でアウトではないか? 銭湯で女湯に浸かっていると、同級生の男の子がチンチンを股にはさんで入ってきたりする。これも、低学年ならギリギリセーフであるが、4年生はどん引きである。

 

担任の先生が性感マッサージ店に来て、母親に仕事を辞めろ、というのもリアリティに欠ける。

 

さらに政治家のポスターは電柱には貼っていない。電柱は東電の持ち物であって、東電が許可するはずはない。貼ったとしてもすぐに剥がされてしまう。貼ってあるとしたら民家の壁や空き地の柵である。

 

一番気になった点は、やはり幼女の一人称である。幼女という設定なので、バカっぽく書かなければいけないのであるが、そこから大人が透けて見えると興ざめ甚だしい。はっきり言って、大人が書いている幼女感が満載なのである。

 

この作品も受賞はないと思う。

 

 

1月19日追記

 

全体の総評&受賞予想はこちら!

第164回芥川賞候補作を全部読んだ。講評&受賞予想!! - 文学・文具・文化 趣味に死す!

 

個別作品感想。

第164回 芥川賞候補作 母影 を読んだ - 文学・文具・文化 趣味に死す!

第164回 芥川賞候補作 推し、燃ゆ を読んだ - 文学・文具・文化 趣味に死す!

第164回 芥川賞候補作 コンジュジ を読んだ - 文学・文具・文化 趣味に死す!

小隊 砂川文次 を読んだ。第164回芥川賞候補作 - 文学・文具・文化 趣味に死す!

旅する練習 を読んだ 第164回芥川賞候補作 - 文学・文具・文化 趣味に死す!

 

 

ビバリーヒルズコップ を久しぶりに観た

 

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1984年の作品である。昭和59年である。

 

この頃の映画はチャチかったけれど面白かった。

 

シナリオも大したことないし、アクションも今のレベルと比べたら学園祭である。

 

だけど、見始めるとやめられなくなる。

 

それは、過去にこの映画を観て興奮した記憶が残っているからだろうか? 単なるノスタルジーに過ぎないのだろうか。

 

わたしたちが子どもの頃、この映画を始めハリウッド映画というのは日本とは明らかに違う匂いを醸していた。日本とは全然別の世界があると、わたしたちに印象づけた。

 

おそらく、最近のハリウッド映画を最近の日本の子どもが観て、それが別の世界であるとどの程度感じるのだろうか。

 

平成も半ば過ぎに生まれた人がこの映画を観たら、一体どういう感想を抱くのだろう?

 

当時は黒人白人の問題意識もないまま、普通に見ていたが、アメリカもずいぶん変わってしまった印象だ。

 

 

第164回 芥川賞候補作 推し、燃ゆ を読んだ

 

推し、燃ゆ

推し、燃ゆ

 

 

推し、というのは自分が贔屓にしているアイドルのことである。

燃ゆ、とはSNS等、ネットで炎上することである。

 

主人公は女子高生。好きなアイドル、いや、全身全霊を捧げているアイドルがいるのであるが、そのアイドルがファンを殴ったということで炎上する。それでも、アイドルの推しをやめない主人公。

 

推しをやめないどころか、学校をやめたり、バイトをクビになったり、ニートになったりと忙しい。

 

推しを媒介としてSNSでのつながりなども描かれている。

 

ぶっちゃけ、コンジュジと被っている。

第164回 芥川賞候補作 コンジュジ を読んだ - 文学・文具・文化 趣味に死す!

 

コンジュジは生きているアイドルではないが、死んだアーティストを追いかける。

 

コンジュジの方が作品の質が高いと思う。コンジュジはアイドルの追っかけと主人公の人生が渾然一体となって描かれている。

 

推し、燃ゆ、の方は主人公の生活とアイドルの推し、というのがどうもギクシャクしている。むりやり二つの主題を埋め込んだ感じだ。SNSも主題の一つだとすると三つになってしまう。それらが、どうもつながり悪くギクシャクしているのだ。

 

作品としてつまらなくはないし、回によっては受賞の可能性もあっただろうが、今回は相手が悪かった。どうしても比較してしまう。

 

あと、すこし古くささを感じた。コロナが出てこないから、というのもあるのかも知れないが、SNSとか炎上とか、その辺のネタが数年前のように感じてしまうのだ。改稿して発表されたのかも知れない。

 

読んで損とはいわないが、受賞は難しいだろう。

 

 

 

1月19日追記

 

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個別作品感想。

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