内山節【新型コロナウイルスとどう共存するか】2020.5.16
わたしが好きな哲学者。内山氏がコロナウイルスについて語っていた。なぜ、コロナウイルスが怖いのか、内山氏は興味深い考察をする。
キーワードは関係性だ。
人間の生命というのは本来関係性で成り立っている。それは人間同士の関係。人間と自然との関係。
それが近代的人間観では個体的生命、独立した生命と変わってしまった。
人間も様々なものとの関係の中で生命を維持している。ウイルスも宿主との関係の中で存在している。大きな視点で見れば、人間もウイルスもやっていることは変わらない。
今回のコロナウイルスが不気味に感じられたのは、新型だからとかワクチンがないからだけではない。生命とはこういうものだ、という生命の根源を薄々感じさせたところにある。
独立した存在ではない、個体でもない、ウイルスという全体的な存在が命の世界を漂っている。それが、一人一人が独立した生命体だと思い込んでいる人間の世界に襲いかかってくる不気味さ。
人間は根底では関係し合う生命であるにもかかわらず、そのことを意識の上で断ち切って一人一人が独立した生命だと考えている。ウイルスは意識の上で断ち切ったはずの生命観を見せつけてきた。
生命の根源を見せられている故に、それを否定した人間には不気味なものに見える。
この発想はなかった。なかなか考えさせられる動画である。音声だけだが。