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高齢化上位は敗戦国だけ

内田樹「高齢化上位国に並ぶのは第2次世界大戦の敗戦国という驚くべき結果」 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

 

ネットを徘徊していたら↑のような記事を見つけた。

 

本当かどうか調べてみた。

内田さんは中央年齢ランキングからのデータだろう。

世界・中央年齢ランキング(WHO版) - 世界ランキング

 

 

高齢化率のデータもあった。似たり寄ったりだ。2017年のデータでは以下の通り。

 

1 日本     27.05 %
2 イタリア   23.02 %
3 ポルトガル  21.50 %
4 ドイツ    21.45 %
5 フィンランド 21.23 %
6 ブルガリア  20.80 %
7 ギリシャ   20.40 %
8 スウェーデン 19.99 %
9 ラトビア   19.75 %
10 クロアチア   19.72 %
11 フランス    19.72%

 

高齢化率とは人口に占める65才以上の割合である。

 

日本が突出して多いのは間違いない。

イタリアも多い。

 

しかし、それ以下はほとんどドングリの背比べではなかろうか?

 

ちなみに大戦勝国のイギリスは24位で18.52%。

 

その他の詳細はこちらをご覧戴きたい。

世界の高齢化率(高齢者人口比率) 国際比較 – Global Note

 

 ついでに出生率ランキングも。

世界の合計特殊出生率 国別ランキング・推移 – Global Note

 

 

内田氏の論は面白い。

「人間はやることがなくなると自殺する。敗戦国は自己肯定感が低い。故に、国家規模で緩慢な自殺をしている。敗戦国で歴史修正主義が猖獗を振るうのは、国民規模での自己肯定感の回復を企図した悪あがきだとしたら、分からないこともない」

 

ちなみに氏は歴史修正主義が大嫌いなのである。

 

ただ、わたしが以前参加した日本会議の集会は歴史修正主義ではないが氏と同じことを言っていた。

 

「日本人は敗戦によって自身を失った。自身を取り戻すにはどうしたらいいか? もう一度戦争をして勝てばいいのです!」

 

唖然として聞いていたが、会場ではここで大拍手が巻き起こり、二度唖然としたのを覚えている。

 

ただ、内田氏にしろ日本会議にしろ、日本の自己肯定感の低さを敗戦に求めるのは少し無理があるのではなかろうか。

 

ご存知の通り、日本もドイツも敗戦後世界有数の経済大国にのし上がったわけであり、イタリアだって世界がうらやむ文化をたくさん持っているわけである。

 

自己肯定感の低さは様々な要因があるし、自殺死亡者数、率をみても激減してる。2018年は2万598人で、あと少しで2万人を切りそうである。民主党政権時代は年間3万人だったのだから、安倍政権はこの辺りをもう少しアピールしてもいいのではないか?

 

もし、日本人の自己肯定感が低く、閉塞感が高まっているとすれば、わたしはその最も大きな要因は安心安全の行き過ぎだと思っている。

 

ちょっとでも問題が起きると、すぐに対策だとかなんだとか、行政機関に求める。そうではなくて、もう少し自分で危機をコントロール出来るようにしなければ、なんでもかんでも他人任せで終わってしまう。

 

斉藤環氏のいう、「社会が成熟すると人間が未熟になる」という現象が進行しているのではなかろうか。社会の成熟度と人間の成熟度は反比例する。つまり、人間の成熟度を上げるには、社会を未熟にすればいいのである。

 

具体的には、ブラック企業対策、年金医療福祉、いじめ対策、児相などによる家庭への介入、こういったよかれと思ってやってきている政策をストップすればいいのである。

 

ただ、そんなことは出来っこないのである。安心安全人任せの流れは止まらないのである。そう考えると、内田氏のいう緩慢な自殺とはこのことを指しているのではなかろうかとも思える今日この頃。

 

 

AERA (アエラ) 2019年 7/8 号【表紙:藤原竜也】[雑誌]