シャツの項を書くにあたり、落合氏のギャツビー論を思い出した。氏のいくつかの著書で触れられているが、「男の服装・お洒落の基本」の第10章「シャツのエレガンス」ではことさら細かく触れられている。
ギャツビーがシャツを次々投げて、デイジーが「こんな美しいシャツ見たことない」といって感極まった、かどうかは謎なのだが、泣くシーンがある。あのシーンのシャツの舞い方を例に、氏は立体的な縫製や生地の質を語るのである。
TSUTAYAにはデカプリオのギャツビーはあるのであるが、レッドフォードのがない。仕方ないのでamazonで199円支払い観た次第である。最近のプライムは邦画ばかりが増えて洋画が少ないような気がする。007などはほとんど観られなくなってしまったし。
ネタバレなし。注意不要。
一番気になったのが、ノークールビズである。夏の話であり、東京ほどではないにしろかなり暑いはず。なのに、紳士たちはみんな三つ揃え。汗をだらだら流しながら着込んでいるのだ。あんなに汗をだらだら垂らしても上着やベストを着続けるのかと感動した。
スーツは明るい色を選んでいる。ニックもギャツビーも白のスーツを着ている。白は熱を吸収しないから涼しいと言う。トムも薄い色のスーツを着ていた。
ギャツビーはイギリススタイルのスーツを着ている。ニックは対照的にアメリカンで、カラーバーを多用している。
ギャツビーの着こなしもさることながら、わたしが自然で格好いいと思ったのはニックの着こなしである。初めてギャツビーのパーティーに行くブレザースタイルも格好いい。タイもちゃんとレップタイを絞めている。ラルフローレンが衣装提供をしているので、ブレザースタイルなどは思い通りに提供できたのではないだろうか。
ジュエリーはカルティエなので、ひょっとしてらカラーバーもカルティエ製かもしれない。
さて、シャツのシーンであるが落合氏は前掲書168ページで、「レッドフォードのシャツはターンブル&アッサー製だという説が強いが、ここで特定するのは控える」と書いている。こういうページがあったのでターンブル&アッサーで間違いないと思う。少なくとも、箱は山積みされていた。
GLOBER | ターンブル&アッサー/Turnbull&Asser 華麗なるギャツビー
ただ、タグが僅かに映るシーンがあったのだが、現行のタグとは異なるようで、ターンブル&アッサーかどうか確認できなかった。もしわかる人がいたら教えて欲しい。
というわけで、ダンディズム的にはお腹いっぱいの映画であった。