久しぶりに面白い映画を観た。役者がいい。
シナリオもなかなか凝っていて面白かった。この映画の原作はない。内田けんじ監督のオリジナル脚本である。原作があるとどうしても原作に引っ張られるし、原作を活かそうとすれば無理が生じてしまう。オリジナル脚本はそういった無理が起きないので、観ていて映画の世界から急に冷めてしまうことがない。
よほどの名脚本ということで、韓国でも「ラッキー」というタイトルでリメイクされている。
こっちもプライムで観られるので、近々観る予定。
ラッキーと「ラック・キー(鍵)」をかけている。
Luch-keyも微妙であるが、日本語のタイトル、「鍵泥棒のメソッド」は全然しっくりこなかった。変なタイトルだ。
「鍵泥棒のメソッド」なぜ、こんな妙なタイトルをつけたのか、謎だったのでいろいろ調べた。
まず、メソッドは方法とか技法とかである。
本作品は鍵泥棒がメインの話ではないのに、どうして、鍵泥棒の技法とか、方法とかいうタイトルになるのか謎であった。
そこで、メソッドの語源にあたった。語源はギリシャ語で「道に従う」「後を追う」そこから転じて、後追うことが出来る、で、技法や方法という意味になったらしい。
だが、調べるうちに、メソッド演劇法、という言葉が出てきた。そして、演劇の訓練や、訓練方法などをメソッドと呼称していることが分かって、このタイトルの意味が氷解した。
つまり、このタイトルは、「鍵を泥棒する方法・技巧」ではなく、
「たまたま鍵泥棒となった人間がどのような演技を演じるか」と解さなければならないのである。
この映画の一つの見所は「役者魂」である。なるほど。これほど見事なタイトルはないではないか。しかし、わかりにくい。メソッドと演劇がリンクしている人間はどのくらいいるのだろうか。