優生保護法が廃止されたのは1996年である。平成の御代だ。強制不妊手術が問題になっていて、ナチスの断種法が連想されて、とんでもない法律もあったもんだ、とみんな呆れていると思う。
が、出来た当初は、かなり先進的で人道的な法律だということ。議員立法で成立しているのだ。
当時、障がい者は一生座敷牢だったり、間引かれたりして、それは非人道的であるという理由で、人道的な目的で制定されたらしい。
もちろん、今の価値観ではとんでも法律である。
世界三大悪法、というのがある。禁酒法、生類憐れみの令、ニュルンベルク法。
まず、生類憐れみの令は、マルクス史観連中が「江戸時代は暗黒世界」という前提で悪法扱いしたもので、実際は悪法どころか、人民の道徳心を養う上で非常に貢献したという。
そして現在、動物殺処分ゼロ運動とか、動物実験の廃止を求める運動とか、またバイオ食肉とかも生まれているので、ガチで動物殺し=悪となる可能性もある。
そして、禁酒法だ。わたしは近い将来禁酒法は再び制定されると思う。飲酒がらみの事故や事件があとを絶たない。そして、健康至上主義の人類にとって、飲酒を擁護するロジックがあるだろうか。
たばこはほぼ市民権を失った。次の標的はおそらくアルコールだろう。30年前、ここまでたばこが迫害されると誰が予想しただろうか。禁酒法は最先端のリベラル的な法律、などという解釈が、あと30年くらいで興ってくるのではなかろうか。
すると、恐ろしいのが、最大の悪法、ニュルンベルク法も「じつはリベラルだった!」などと復活することもあり得るかもしれない。なにか、形を変えて。人類の歴史は繰り返しだ。

ヒトラーのモデルはアメリカだった――法システムによる「純血の追求」
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