↑連続短編。ルックスライクはこの中の一遍。
連続短編の一つなので、これだけで評価していいものか迷う。この作品だけでは、単に父親の昔話と、息子の現在が交差するだけで、しかも、途中からうすうすわかってくるので、予定調和で終わり、なんとなくフラストレーションが溜まる。
だが、このルックスライクは連続短編の一つらしいので、その前後の話があればまた別の感想を持つと思う。
連続短編と、短編は別物だとおもう。この「日本文学100年の名作第10巻」には、連続短編の中から、切り出された作品が多いが、連続短編の中の一つを、短編として読むのはいかがなものであろうか。作者がバリバリ存命中活躍中なので、連続短編のうちの一つを載せて、本体を売ろうと画策しているのでは、などと勘ぐってしまう。
ルックスライクはそういうわけで、正しい評価は下せないと思うのだが、文章や比喩や会話などは一級品である。例えばこんな感じだ。
【「仮面ライダーにストロンガーっていうのがいたんでしょ。何代目かに」と織田美緒は、徳川家の将軍の話をするかのように言う。】
日本文学100年の名作第10巻 2004-2013 バタフライ和文タイプ事務所 (新潮文庫)
- 作者: 池内紀,松田哲夫,川本三郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2015/05/28
- メディア: 文庫
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