↑に収録されている。
朝顔の夢を見た。の書き出しで始まる。老年の男が少年時代の夢を見るのである。そこから、過去の自分を回想する。
おそらく、この作品は最初に最後まで見通せるプロットなどはなかったであろう。朝顔が出てきて、弟とその朝顔を散らせた場面、その次に祖母の場面、そういうものを一つ一つ付け足していって一つの作品になっているのではないかと思われる。
プロットがないから破綻しているかと言えば全くそんなことはなく、むしろ読者は、この作品の主人公の思考のように、過去へさかのぼり、その埋もれていた記憶を拾っていくことが出来る。素晴らしい纏まりのある作品ではないかと思う。小説の物語の作り方として、一つの参考になる作品。
↓毎度のことながら、これに入っている。

日本文学100年の名作第10巻 2004-2013 バタフライ和文タイプ事務所 (新潮文庫)
- 作者: 池内紀,松田哲夫,川本三郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2015/05/28
- メディア: 文庫
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