正月は着物を着てうろうろしていた。
着物を着ると背筋が伸びる、という言説を聞くが、それはおそらく、普段着物を着慣れておらぬ上に、いきなり紋付き袴でハレの舞台に上がったかなにかであり、背筋と着物はおおよそ関係のないものと思われる。
というより、むしろ着物を着ると自然に背筋が曲がる。背広は背筋を伸ばしていないと格好悪い。着物は背筋を自然な感じで撓めていても様になるというか、無理に胸を張ると返っておかしい。
正月が終わった今も背広で外に行く以外は、ほとんど家では着物でいる。今日も昨日も着ている。はっきり言って楽である。そりゃ、あれだけダボダボのものをダボっと巻き付けただけなので、楽でないはずがない。それに、正絹の襦袢と長着はかなりホカホカである。
のび太のパパ、磯野波平など、昔の人が家では着物を着ていた理由がよくわかった。
ポリは安いが萎える。
古着なら正絹が安く買える。