アドラー心理学、読めば読むほど難しい。アドラー心理学を一言で表すならば「煩悩を滅却せよ」である。例えば、世界は自分の仲間であるとか、縦の関係ではなく横の関係を結べとか。これらを頭で理解するのと、心から自然に行えることは違うことである。
縦の関係ではなく横の関係を結べ、と言われたところで、そのことを頭で意識して横の関係を結ぼうとするならば、それはすでに縦の状態にあることである。なぜなら、横の関係であるならば、横の関係になろうなどと言う意識は働かないからである。
世界は自分の仲間であるというのも然り。真に世界が自分の仲間であるならば、世界は自分の仲間であるなどと意識する必要はないのである。
これらの煩悩を滅却したところにアドラー心理学の真髄があるとするならば、たどり着くには相当長い道のりが要求される。アドラー心理学は単純だと言うが、単純ゆえに極めて難関なのである。