老人の一人称でコミカルに描かれている。が、その内容は老人の安楽死である。しかも、機械とかを用いずに、ハンドメイド殺害である。
作者の深沢七郎は楢山節考、風流夢譚など問題作をいろいろ発表している。この作品も十分問題作だと思うし、この時代に安楽死を扱うというのは時代を先取りしているとも言える。
ただ、ふと視点を裏側に持っていくと、この時代、もしからしたら、このような安楽死はある地方では普通に行われていたことなのかもしれない。だからこそ、ここに描かれた登場人物たちは、さしたる迷いもなく、まくらおとしを実行する。
それがいいこととか、悪いこととか、そのような評価は一切なく、淡々と描かれているのが実に印象的な作品である。
↓ これに入っている。
日本文学100年の名作第8巻1984-1993 薄情くじら (新潮文庫)
- 作者: 池内紀,松田哲夫,川本三郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2015/03/28
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (5件) を見る
一日二回投稿! 30日チャレンジ中! 次の投稿は7月22日19時37分。