わたしは椅子を探しているうちに、座り心地にばかり気が行ってしまい、椅子のもつその他の大事なことをおろそかにしていたのかも知れない。もともと、わたしが椅子に興味を持ち始めたのも、その造形からであり、造形に惚れればこそ欲しいと懇望し探求していたのではないか。
そのことを気づかせてくれたのは、埼玉県立近代美術館学芸主幹・平野到さんのインタビュー記事。
椅子がたくさんある美術館で椅子の歴史に思いをはせる | コクヨの実験
↑から抜粋する。
もちろん座り心地の良さという、椅子の役割がある一方で、座り心地だけではない椅子の機能というものもあるんです。
空間に椅子を置くことによって、空間が豊かになる……例えば、この美術館はグレーの石造りで、あんまり色がなかったりするわけですけれども、そこに赤い椅子を置くことによって、その空間が別の意味で生き返ってくる。そんな役割も椅子にはあるんです。
椅子の機能として、空間を演出する、見て楽しむ、そんな機能も重要なんです。
座るだけではない椅子の機能。空間を演出する、見て楽しむ、精神を豊かにする。至言である。
また、椅子の本場ヨーロッパでは、椅子は単独で購入するものではなく、家に付随するものだという考えがあるらしい。つまり、部屋のデザインの一貫なのである。
わたしも、もう一度その観点から椅子探しをやり直そうと思う。
↓如何にせんデザインが……。

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前に読んだ本で、
「最近はよいものを長く使うという思想が現れた来た。あわせて家具メーカーも無垢材を使った『100年使える家具』というなもものを売り出しはじめた。たしかに、素材としては100年持つだろう。だが。そのデザインは本当に100年持つのだろうか、大いに疑問である」
といったようなことが書かれていた。材質的に持てば良いという話ではないのと同じで、機能的に優れていれば良いという話でもないわけである。