ナスが美味くて安い季節である。
わたしは年中ナスを食っている。焼いて醤油とショウガを乗せるだけ。極めて簡単で実に美味い。食わない手はない。
さて、秋なすは嫁に食わすな、ということわざがある。
意味は複数あり、秋なすは美味いので嫁にやるのはもったいない、という嫁をいびる意味。
いや、秋なすは体を冷やすので子どもが出来にくくなる、という嫁を気遣っての意味。
しかし、体を冷やして子どもが出来にくくなるから、は厳密に言うと、子どもを産ませる、いわば産む機械のように嫁を捉えているので、嫁を気遣ってかどうかは疑問符がつく。
さらに言うと、昔は今みたいにナスがいくらでも安価で手には入ることはなかったのだろう。さらに、これといって美味いものもない時代、秋なすはリアルにご馳走だったと考える。
そのご馳走を他所者の嫁に喰われるのは我慢ならん。世の嫁姑は概して仲が悪い。
本来の意味は、そのままで、「秋なすは美味いから嫁に食わせたくない」これが本義であろう。しかし、これではあまりに非道徳的だし、舅姑の性格が悪いことになってしまうので、あとから、「体を冷やす云々」の方便を拵えたのである。
ナスを喰えば簡単に分かることである。