近年、若者の車離れとか酒離れ、新聞離れ、などといわれているが、その原因は低賃金低所得だという。
デービッド・アトキンソン氏の分析が面白い。
VIDEO NEWS » 日本人が知らない日本の「スゴさ」と「ダメさ」
1人当たりGDPランキングの推移(1990年・2000年・2010年・直近) / 日本の地位は低下傾向 - ファイナンシャルスター
日本の一人当たりGDPの推移を見ると、1990年2位、2000年18位、2017年25位である。最早日本人はそれほど裕福ではないのである。
トヨタの海外での販売台数は2018年は798万台。国内は156万台。トヨタの国内販売比率は16%である。
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アトキンソン氏によると、先進国の一人当たりGDPの順位と、国際競争力の順位はだいたいイコールになるという。イタリア28位、スペイン31位など。
しかし、日本は25位なのに、国際競争力は5位。これがどういう意味かというと、労働力が不当に安いことに他ならないという。つまり、日本の一人当たりGDPは今の倍くらいあってしかるべきだと。
日本の生産性が低い理由も労働力が安いから。最先端技術を導入して生産性を高める必要がないのである。
世界ではどこも賃金を上げている。なぜ日本は賃金を上げないのか。その原因が戦後の高度経済成長神話である。
戦後、日本人は勤勉で真面目で手先が器用だから高度経済成長したと思われているが、アトキンソン氏はそれに否を唱える。この表は目から鱗である。
日本は戦前、すでに世界第五位のGDPを持った大国だったのだ。その大国に戦後人口が増えて、人口に比例してGDPが高まったに過ぎない。もともと凄かった国が元に戻っただけなのである。
ゆえに、戦後神話をベースに経済政策を行えば、トンチンカンな政策になるのは必定である。
日本人が農耕民族だから云々というのも神話で、農耕民族でない定住社会などあり得ないという。「イギリス人は狩猟民族ですよね」と言われると氏は「狩りに出てもパンは獲れませんよ」と答えるらしい。