梯子の森と滑空する兄
ずいぶん会っていなかった兄が突然町長になっていた。というところから始まり、兄の思い出を語る。
腹違いの兄。この兄というのは常軌を逸していて、しかし、コミュニケーション能力とかは抜群。極めて魅力的ときている。
一方主人公は至って常人。その常人である主人公は兄に憧れるのであるが、母から、「あんたは普通の人間だから無理」といわれてしょぼぼーんとなる感じ。
池澤夏樹はいわゆる天才を書きたかったのかもしれない。天才ではなくとも、社会の枠に収まりきれない人間を書きたかったのだろう。マリコ/マリキータのマリコも社会や常識に収まりきらない人間である。
正直よくわからない作品。離島に行ってアンテナを直す技師が、離島の女とやっちゃうと天気が回復するという、幻想的な小説である。よくわからないが、つまらなくはない。おそらく、半分くらいは実話か。ひょっとすると、やっちゃったところも実話の可能性大。それを、綺麗に作品に昇華したのかもしれない。