先日電車の中で礼服姿の初老の男性二人がいた。ネクタイを外していたので、そこからは慶事か弔事かわからないが、大きな紙袋を下げていたので、おそらく結婚式の帰りだと思われる。一人は派手なカフスボタンを付けていたので、葬式ではないだろう。
二人は礼服は着ておれども、しゃべり方や単語の端々から職人気質が覗いていた。ビジネスマンという雰囲気ではなかった。
派手なカフスボタンの方は、ローファーを履いていた。コインローファーである。礼服を着て、カフスボタンでお洒落して、コインローファーというのはどうもチグハグな感じがいなめない。それも、結婚式ならなおさらだと思う。
私立学園の指定靴はなぜかローファーが多い。そのせいか、私立学園の卒業生はローファーをフォーマルだと思っているひとが多いようで、先日もそういう若者がいた。ひょっとしたら、あの初老の老人は孫からローファーを薦められたのかも知れない。