前回の、防災対策には悔いのない人生をおくる、というのは江戸時代の坊さんである良寛の手紙を意識してのことである。良寛は災害に遭った友人にこのような手紙を送った。
災難に逢う時節には災難に逢うがよく候
死ぬる時節には死ぬがよく候
是はこれ災難をのがるゝ妙法にて候
災難に逢うときは逢うのが良い。死ぬときが来たら死ぬのが良い。これが災難を逃れる最善の策である。と。
思いっきり意訳をすると、「気にしてもどうしようもないことを気にするな」ということである。
しかし人間、なかなかこんな悟りは開けない。気にしてもどうしようもないことを、永遠と気にするのが人間である。人はなぜ気にしても仕方のないことを気にするのか? こういう命題を立てること自体も無駄なことなのであろうか。