文学・文具・文化 趣味に死す!

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マルクス・ガブリエル 世界史の針が巻き戻るとき

 

 

この本で面白かったのが「優しい独裁国家・日本」という部分である。

 

ガブリエルは、日本文化は非常に発達している。電車のスケジュール一つとっても完璧。何ごとにも完璧が要求され、高い美意識をもち清潔である。善の共通認識のようなものを持っている。秩序が保たれている。こういった空気が社会に充満している。

 

これが日本文化の良い面であるという。しかし、良い面は裏を返せば悪い面なのだ。

 

遅れてはいけない。完璧でなくてはいけない。清潔でなければいけない。善き人でなければいけない。秩序を乱してはいけない。

 

これらは抑圧として人々の精神を圧迫している。暗黒の力である、という。

 

これと似た分析をしたのがエマニュエル・トッドである。

トッドは「日本人は無秩序を学び治す必要がある」という。ある程度の無秩序さが創造性を引き出す。性的無秩序が出生数をあげる。

 

そのためには社会が無秩序を許容しなければならない。社会が完璧をもとめると、それが社会の重荷になる。だから子どもが減る。ある程度発展した社会で完璧を求めることは逆に障害である。

 

という分析である。

 

まったくその通りだと思う。閉塞感もそろそろ爆発するのではなかろうか。

 

現在の日本の閉塞感、不安、は過去にないのではないか? なぜわれわれは不安で閉塞感が満ちあふれる社会を作ってしまったのだろうか。今の社会が我々の選択の延長なら、外圧が無い限りこの流れは永遠か。