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インクを観た 

ネタバレ注意!

 

なかなか難解な映画で、一見意味がわからない。次元が違う二つの世界を扱った話である。ジョンはある世界では娘を見捨てた自分に絶望して自殺する。しかし、死にきれずに怪物インクとなる。

 

インクとなると時間的秩序がなくなり、死ぬ前の娘の夢に入り込むことが出来る。インクは娘の夢に入って娘を攫う。娘を悪魔に差し出すことが悪魔の世界に入るチケットなのだ。

 

しかし、ここで娘を守ろうとする善人の集団が現れて、娘を取り戻そうとする。でも、インクに連れ去れてしまう。

 

夢の中でインクに連れ去られた娘は現実世界では意識を失い寝たきりになってしまい病院に運ばれる。

 

娘を育てている(親権をジョンから勝ち取った)祖父母はジョンにお見舞いに来て欲しいと頼むが、ジョンは「あんたらが娘を奪ったんだろ! おれに娘はいない」と拒否。

 

ジョンは娘を見捨てるはずだったのであるが、その未来を、善人の集団が変える。荒療治で、ジョンに交通事故を起こして病院に運ばせるのだ。すると、その病院には娘が運ばれている。ジョンは娘に会いに行って、インクも自分がジョンであることを思いだして、悪に打ち勝つ、というお話し。

 

一見すると、善と悪のたわいもない話であるが、現実世界のジョンには見えないところで繰り広げられる闘いがミソ。人間の中には様々な葛藤がある。それは善悪では片付けられない。プライドとか、意地とか、わがままとか、そういう心が闘っている。それを映像化したのが本作なのかも知れない。

 

善人の集団がジョンに事故を起こさせるのも、ジョンから見たら運命であるが、別次元から見たら宿命であり、良い因果なのかもしれない。だからこそ、この作品は最初に事故のシーンを持ってきているとも考えられる。