太宰の迫力を存分に味わえる作品。言葉の力が押し寄せる。かなり初期の作品である。
ダス・ゲマイネはドイツ語。das gemeine=一般的なもの、通俗的なもの、の意味。
太宰の津軽弁だと、ダスケ=だから マイネ=だめだ となるらしい。言葉遊びも入っている。でも、小説自体が衒学的な登場人物たちの応酬で、このダス・ゲマイネというタイトルはしっくりくる。
太宰の小説には太宰本人が登場する。だが、これは、最初は主人公が太宰かと思って読んでいると、途中から「太宰治とかいう小説家」が登場して、主人公たちと揉めるという、一癖も二癖もある出来になっている。
シゲティとか滝廉太郎とかラベルとか、有名音楽家の名前もちらほら出てきて、現実世界とかなりリンクしているので、その辺も興味深い。