神楽坂の入り口に「のレン」という店があり、そこは和物のセレクトショップで、山田製の原稿用紙が売っている。
井上ひさしとか吉行とか川端康成も使っていたらしい。漱石もか。というか、そもそも原稿用紙は日本独特のものであるし、作っているメーカーも少ないのだから、文豪が使っていた、とあえて言うほどのものではないかもしれない。というか、文豪はいろいろなメーカーの原稿用紙を使っている。
スーベニアショップだけ有り、袋もお洒落だ。
帖紙まで入れると五重の包みになっている。
↓山田製
満寿屋と比べてみる。
マスの大きさはほぼ同じである。
さて、書き味であるが、これが全く違う。驚くほど違う。
山田製のほうはするする書ける。満寿屋の方が引っかかりがある。
といってもほんの少しだ。
紙質は山田製の方が薄い。
さて、一番の違いはインクの吸い込みである。
これは書いてすぐにわかった。
山田製はものすごくインクを吸い込む。故に、太字になってしまう。さらに、若干滲む。つまり、インクの出が渋い万年筆には向いているかもしれないが、近年のデロデロインク万年筆には向かない。
とくに、粘度の薄い霧雨などはこの有様だ。その点、満寿屋は少しも滲まない。
どちらがいいかとは一概に言えないだろうが、気分で変えるのも悪くないだろう。文豪が様々なメーカーの原稿用紙を使っていたのもわかる気がする。