文学・文具・文化 趣味に死す!

小説家 星香典(ほしよしのり)のブログ。小説、映画、ファッション(メンズフォーマル)、政治、人間関係、食い物、酒、文具、ただの趣味をひたすら毎日更新し続けるだけのブログ。 ツイッター https://twitter.com/yoshinori_hoshi  youtubeチャンネル https://www.youtube.com/channel/UC0YrQb9OiXM_MblnSYqRHUw

法月倫太郎のノックスマシーンを読んだ

 

ノックス・マシン (角川文庫)

ノックス・マシン (角川文庫)

 

 

なぜ、法月倫太郎を読んだかというと、若干話が長くなる。

わたしはSFを書こうと思っていて、SFの書き方などを調べていた。すると、東広紀のゲンロンスクールにて、SF講座が開催されているのを知った。

締め切りが五月なので、申し込もうかどうか迷っていて(と言っても場所的に無理っぽくお値段も16万円と安くない)、カリキュラムをみたら法月氏の講座などがあった。

なので、申し込む前に氏の作品を読んでみようと思った次第である。

ちなみに、さっき見たら申し込みは締め切られていた。やはり人気らしい。

 

school.genron.co.jp


で、ノックスマシーンであるが、これがSFの文法とでもいうのであろうか、文学と量子力学などを融合させ、あり得ない現実をそれっぽく浮かび上がらせる。話の内容は特段注目するところもないのであるが、その外堀を埋める理論、量子力学ブラックホール、なんとか関数などの説明が面白い。

わたしはグレッグ・イーガンが好きでいくつか読んだことがあるが、イーガンよりもさらに蘊蓄は長い。分かったような分からないような、そんな世界に浸りながら、理論と物語を楽しむ。SFの味わいである。

イーガンの途方もないスケールを、日常の些事にまでスケールダウンしたような、デフォルメ感がなんとなく面白い本作。よく、ノックスの10戒とエラリークイーンの読者への挑戦をつかって、ここまでSF的なものが書けるのかと舌を巻くばかりなり。

 

 

祈りの海 (ハヤカワ文庫SF)

祈りの海 (ハヤカワ文庫SF)

 

 

わらわ 童

 

五歳児がふりかけに入っている魚を見て、「これ小魚って言うんだよ」と言っていた。

「なんで小魚なの?」
 と聞くと、
「分からない」という。

「ほら、考えてご覧。小さい猫は子猫、小さい犬は子犬」
「あ、小さい魚!」
「お前は小さいからコワッパだな」

などと言っていたら、同居人が、
「ワッパってなに?」

はて。ワッパとはなんであろうか。調べてみたら、わらわ(童)の促音便とのこと。

では、わらわ、わらべ、とはどういう意味かというと、「わらわべ」とか「わらわら」など、髪を結っていない様子を言うらしい。

コワッパはワラベのもっと小さなやつなので、さしずめ、赤ちゃんだろうか? それとも、馬鹿にする「こ」が付いているだけだろうか。「こ」はもともと小さいもの、という意味で、子、小、粉、は同じ語源とのこと。うーん、こむずかしい。

 

 

日本語源広辞典

日本語源広辞典

 

 

パプリカを観た

筒井康隆原作の映画である。他人と夢を共有でき、他人の夢に入り込む機械が盗まれる。その機械を使っているものの夢に入り込み、犯人を捜す、というあらすじ。

わたしは夢について色々な解釈をしてきたが、この映画に出てくる夢は、夢か現実、それが実に曖昧に描かれている。つまり、現実は夢の延長で、夢は現実の延長なのだ。そもそも、夢と現実は境界や主従関係などなく、夢は現実の中で起こることとも言えるし、現実が夢の中で起こっているとも解釈できる。なかなかそう解釈するのは難しいが。

インセプションという映画があり、これも夢と現実の境が曖昧だったり、夢のさらに夢の中に入り込むなど、いろいろ手が込んでいる。お気に入りの映画である。おすすめである。

本作は映像が圧倒的だ。この圧倒的な映像は小説でどのようになっているのか、興味のあるところ。amazon書評でも非常に高評価なので見つけたら読んでみたい。

 

パプリカ [Blu-ray]

パプリカ [Blu-ray]

 

 

パプリカ (新潮文庫)

パプリカ (新潮文庫)

 

 

 

インセプション [Blu-ray]

インセプション [Blu-ray]