なぜ、法月倫太郎を読んだかというと、若干話が長くなる。
わたしはSFを書こうと思っていて、SFの書き方などを調べていた。すると、東広紀のゲンロンスクールにて、SF講座が開催されているのを知った。
締め切りが五月なので、申し込もうかどうか迷っていて(と言っても場所的に無理っぽくお値段も16万円と安くない)、カリキュラムをみたら法月氏の講座などがあった。
なので、申し込む前に氏の作品を読んでみようと思った次第である。
ちなみに、さっき見たら申し込みは締め切られていた。やはり人気らしい。
で、ノックスマシーンであるが、これがSFの文法とでもいうのであろうか、文学と量子力学などを融合させ、あり得ない現実をそれっぽく浮かび上がらせる。話の内容は特段注目するところもないのであるが、その外堀を埋める理論、量子力学、ブラックホール、なんとか関数などの説明が面白い。
わたしはグレッグ・イーガンが好きでいくつか読んだことがあるが、イーガンよりもさらに蘊蓄は長い。分かったような分からないような、そんな世界に浸りながら、理論と物語を楽しむ。SFの味わいである。
イーガンの途方もないスケールを、日常の些事にまでスケールダウンしたような、デフォルメ感がなんとなく面白い本作。よく、ノックスの10戒とエラリークイーンの読者への挑戦をつかって、ここまでSF的なものが書けるのかと舌を巻くばかりなり。

- 作者: グレッグイーガン,Greg Egan,山岸真
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2000/12
- メディア: 文庫
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