特段目新しいことはなかった。移民が増えて、移民排斥が増えて、通貨問題などで一つのヨーロッパという概念が薄らいできているというよくある話。
トランプの出現。ブレグジット。グローバル化によって国内での連帯よりも階級での連帯が進んだ。
面白かったのは能力主義批判である。
能力主義エリートがどうして尊敬されないか。著者によると、彼らは移動できる能力を持っているから、だという。
たしかに、現代のエリート、優秀な人間というものの概念は、数カ国語を話し、グローバル的な視点でものを考えられ、どこに行っても通用する人間。
有権者は彼らを信用しない。なぜなら、彼らはなにか問題が起こると、どこかに行ってしまうからだ。
昔の封建貴族のように、土地や人民や先祖代々の肖像がに縛られることはない。
ただ、現代の政治の難しさを一つ付け加えるならば、エリートだけではなく人民ですら現在は移動できる存在なのだ。
上記の国内での連帯よりも階級での連帯が強くなったグローバル社会とは、移動できる人間VS移動できない人間の闘争なのだろう。