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ゴールデンボーイ スティーヴン・キング を読んだ。感想。レビュー。

邦題は「恐怖の四季」となっているが、原題はDifferent Seasonsである。

 

 

ゴールデンボーイ―恐怖の四季 春夏編 (新潮文庫)

ゴールデンボーイ―恐怖の四季 春夏編 (新潮文庫)

 

 

 

四つの短編からなっており、ゴールデンボーイはそのうちの一つ。名作揃いで、他にはスタンド・バイ・ミー、ショーシャンクの空(小説のタイトルは「刑務所のリタ・ヘイワース」)などだ。

 

本書はホラーではないと言うが、充分に怖い。

 

しかし、人間の心が描かれている点は非常に文学的である。

 

ネタバレ有り。

 

最初は少年が元ナチスの老人を翻弄する。しかし、次第に元ナチスの老人は過去の感情を取り戻し、逆に少年を翻弄するようになる。最後は少年が老人の手のひらの上で踊らされるまでになる。

 

老人は結局イスラエルに発見されて連れて行かれそうになるが、間一髪で自殺して、そこそこ幸せな一生を送ることが出来た。が、少年は老人に精神まで狂わされ(その素質が少年には充分に備わっていたのであるが)破滅的な人生を歩むことになる。

 

ひとつ気に入らない点は、少年は最初、非常に能力が高い人間として描かれる。しかし、段々バカっぽくなり、最後は刑事の簡単な誘導尋問にすら引っかかって馬脚を現す。

 

スティーヴン・キングはもちろんナチスのことなど知らないはずなのに、この元ナチスをあれほどリアルに書き上げる腕はさすがである。もちろん、わたしもナチスなどしらないが、読んでいて本当にナチっぽいのである。ここが小説の妙で、真実のナチを書いても、それが読み手にとってナチっぽくなければ、資料としてはともかく、読み物としては駄目なわけである。

 

ショーシャンクの空は映画で感動した。併録されているので読んでみたいと思う。

 

ゴールデンボーイも映画になっている。

 

ゴールデンボーイ [DVD]

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