純文学映画である。
別れた夫婦の話。
ミステリー的なところやアクション的なところはひとつもない。
なにが好いかって、台詞がいい。
特に覚えている台詞。
探偵の阿部寛が高校生の弱みにつけ込み金を巻き上げる。
高校生は「あんたみたいな大人にだけはなりたくないです」
と言う。
阿部は「言っとくけどな、そんなに簡単になりたい大人になれると思ったら大間違いだぞ」
なかなか答える台詞だ。
しかも、阿部は一度賞を取ったっきりの売れない作家である。
しかし、一度も賞を取れず、百連敗くらいしているわたしから言わせると、たった一度でも賞を取って小説を出版したというのは羨ましい限りなのだ。
僕はきっと今いつかの夢の上に立っているんだね
僕はきっと今誰かの夢の上に立っている
僕が立っているここはきっと誰かの願ってる場所で
誰かが立っている場所がきっと僕の望む場所で
ってことである。やんぬるかな。